愛犬に香辛料を与えていいかどうかは香辛料の種類によって異なります。
香辛料は私たちにとってとても身近な食材で、さまざまな種類があります。なので、どの香辛料が犬に合っていて、どの香辛料が与えてはいけないものなのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では「犬におすすめできない香辛料とおすすめの香辛料」について解説していきたいと思います。
種類によって異なる
香辛料を犬に与えてもいいかどうかは香辛料の種類によって異なります。
トウガラシ、わさびなど辛い味がして刺激が強い香辛料は犬に与えないほうがいいですし、八角やクローブなども避けたほうがいいと言われています。
一方、香りづけや臭み取りなどに使用される香辛料は犬に与えても大丈夫な場合が多いです。例えば、バジルやパセリ、ローリエなどです。
そもそも香辛料って何?
そもそも香辛料とは、調理のときに香りや辛み、色を出したり材料の臭みを消したりするために用いられる調味料の総称です。
そのため、香辛料の中にはさまざまなものが含まれています。それぞれの特徴については下の項で解説していきますが、主なものはわさび、トウガラシ、ネギ、ターメリック、シナモン、ローリエなどです。
そして、香辛料を加えることで食べ物がおいしくなったり、食欲が増幅されたりします。
ちなみに、香辛料の中には、加工食品に添加されるものもあります。
そして、ほとんどの香辛料は植物の実や種子や地下茎などのそのものや、それを乾燥させたもの、もしくは乾燥させてから粉々にしたものを用います。
そして、多くの香辛料は少量でも強い効果があるため、少量だけ使われることが多いでしょう。
犬に香辛料を与えてもいいの?
香辛料にはさまざまなものがあるため、その中には犬に与えてもいいものもありますが、与えてはいけないものもあります。
そして、香辛料の中で犬に与えてもいけないものは、辛みがあって、刺激になってしまうものです。
具体的にはトウガラシやわさびやマスタードなどがあげられるでしょう。
そして、これらの香辛料は人間でも苦手な人がいますが、犬に与えてしまうと胃腸が刺激されてしまい、下痢を起こし、嘔吐や食欲不振まで引き起こしてしまうかもしれません。
また、下痢が続くことによって脱水症状になってしまうこともあります。
ちなみに、背中辺りの皮ふを上に向かってぐっと引っ張り、ぱっと離したときに皮ふの戻りが悪かったら、それは脱水症状を起こしているということです。
そして、脱水症状は悪化すると命にかかわってしまうこともあります。くれぐれも注意するようにしましょう。
また、犬が辛みの強い香辛料を食べてしまうと、胃の感覚麻痺が起こってしまう場合もあります。そして、胃の感覚麻痺はさまざまな病気の原因になってしまう可能性もあります。
ただ、犬が嗅覚が強いため、上記のような刺激が強い香辛料を水から食べてしまうことは少ないでしょう。
しかし、犬によっては食べてしまうこともあるため、辛みが強い香辛料は犬の届かないところに置いておいたほうがいいでしょう。
犬に与えてもいい香辛料
上記のように、辛みがある香辛料は犬に与えるべきではありません。しかし、香りや色を出したり材料の臭みを消したりするために用いられる香辛料は犬に与えても大丈夫なことが多いです。
香辛料の中には、犬のごはんに入れてあげると良い効果を及ぼすものも多くあります。
ただ、香辛料はそもそも少量を用いるものなので、辛みがない香辛料であっても、容器の中に入っているものを誤食されてしまった場合などには動物病院へ連れていってあげたほうがいいかもしれません。
香辛料の種類
✕ 犬に与えてはいけない香辛料
サンショウ
サンショウは小粒でもピリリと辛いことで有名なミカン科サンショウ属の落葉高木の木の実です。
しびれるような辛さとさわやかな香りが特徴です。犬にとっては刺激物になってしまうので、与えないほうがいいでしょう。
トウガラシ
犬にトウガラシを与えてしまうと腹痛を起こしてしまったり、それが悪化して胃腸炎になってしまったりします。
これは、トウガラシに含まれているカプサイシンが原因です。カプサイシンは人間の場合は肥満の防止や食欲の増進などに効果がありますが、犬の場合には胃腸に負担をかけるだけになってしまいます。
ただ、犬がトウガラシを食べてしまっても、少量なら影響が出ない場合もあるので、様子見で大丈夫です。
マスタード
マスタードとはからしに酢などを混ぜた調味料のことです。そこまで辛いわけではありませんが、犬に与えるには適していないでしょう。
ちなみに、マスタードと似た調味料にからしがありますが、からしはマスタードよりもずっと辛い香辛料です。
わさび
わさびはアブラナ科ワサビ属の植物をもとに作られた調味料です。寿司などに使われており、日本料理には欠かせない調味料ですが、みなさんもご存知の通り辛い味をしています。そのため、犬に与えるには適していないでしょう。
ネギ・ニラ
ネギやニラは薬味として使われることもありますが、犬に絶対に与えてはいけません。それは辛み以前の問題です。
ネギやニラを犬に与えてはいけないのは、有機チオ硫酸化物という中毒成分が含まれているからです。有機チオ硫酸化物はヘモグロビンを変化させて赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こしてしまいます。
そして、最悪の場合には破壊された赤血球からカリウムが流れ出し、高カリウム血症になって命を落としてしまいます。
愛犬がもしネギやニラを食べてしまったら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
△ 犬に与えるのはおすすめできない香辛料
コショウ
コショウとは、コショウ科コショウ属のつる性植物の果実を原料とする香辛料のことです。
日本でも調味料としてとても頻繁に利用されているスパイスですが、味は辛いです。
辛さはそこまでではないので少量なら犬に健康被害が起こることはないと思われますが、わざわざ犬に与えるようなものではないでしょう。
クローブ
クローブとは、フトモモ科の植物であるチョウジノキのつぼみを乾燥させたものです。強く甘い香りが特徴です。そして、西洋では一般的なスパイスであり、日本でもスパイス売り場には必ずと言っていいほど売られています。
そんなクローブには麻酔効果があり、幼児、妊婦、のぼせ症の人などは避けたほうがいいと言われています。そのため、犬にも与えないほうがいいでしょう。
もしどうしても与えたいなら、獣医に相談するようにしましょう。
にんにく
にんにくは犬が決して食べてはいけない植物のひとつである玉ねぎと同じユリ科ネギ属の植物です。そのため、「たまねぎ中毒」に注意する必要がありますが、含まれている量はわずかなので過度な心配は無用です。
ちなみに、にんにくには肝臓の機能を向上させ、血栓ができるのを予防し、コレステロール値を低下させる効果があります。また、にんにくを食べるとノミやダニも防止することができます。
犬ににんにくを与えるのはあまりおすすめできませんが、もし与えたいという場合には、細かく刻んだり、すりおろしたりして生で与えるといいでしょう。
八角(スターアニス)
八角は中国料理で古くから使用されてきたスパイスです。甘さを感じさせる辛みが特徴です。
8つの実を放射状につける独特な形をしていますが、香りが強いので1個まるごと用いることはほとんどないでしょう。
そんな八角は杏仁豆腐でシロップの香りづけに使用されたり、ヨーロッパでジャムなど甘いものの香りづけに使用されたりします。
そして、八角には強力な抗ウイルス効果がありますが、その効果は新型タミフルの原料として使用されるくらいなので、犬に与えると健康被害があるかもしれません。八角を与えようと思ったら、八角を与える前に獣医など専門家に相談したほうがいいでしょう。
〇 犬に与えても大丈夫な香辛料
クミン
クミンはカレーに欠かせないスパイスのひとつです。エジプトでは鎮痛剤や胃腸薬として用いられてきました。
消化吸収を助けて胃痛、腹痛、下痢などを治す効果が期待できます。
シソ
シソはシソ科シソ属の植物です。日本でも自生しているシソを見る機会は多く、料理にも良く用いられています。
そんなシソには香り成分としてぺリルアルデヒドが含まれていますが、これは食欲を増進して吐き気の予防にも役立ちます。
また、シソは栄養価も高く、βカロテンの量は野菜の中でもトップクラスです。
そして、シソには抗酸化作用があり、がんを予防する食材として注目されています。
シナモン
シナモンはクスノキ科ニッケイ属の複数の樹木の樹皮から手に入れることができる香辛料です。ニッキと呼ばれることもあります。
そして、シナモンには独特の香りと様々な効果があり、「スパイスの王様」と呼ばれることもあります。ちなみに、香りは甘く、苦味は若干ある程度です。
そのため、シナモンは甘い食べ物と相性が良く、甘くない食べ物の香りづけとして使用されることもあります。シナモンはとても使いやすい香辛料なのです。
そんなシナモンには血管を健康に保ったり、体内の塩分量を調整したり、血糖値を安定させたり、高い抗酸化作用があったりします。
生姜(しょうが)
生姜はショウガ科の多年草です。生姜はなぜか、玉ねぎなどのネギ類と同じで危険なものだと思われていることが多くあります。生姜と似ているニンニクがネギ類なので生姜もネギ類だと誤解されているのかもしれません。
しかし、生姜は実際はショウガ属ショウガ科ショウガ目の植物で、ネギ類ではありません。そのため、いわゆる「たまねぎ中毒」になることはありません。
そして、生姜にはショウガオールによる血流促進効果、ジンゲロールによる殺菌効果、ジンベインによる消化の促進などの効果があります。
また、ほかにも炎症を抑える効果、抗酸化作用、胃を丈夫にして体を温める効果、リラックス効果などがあります。
そして、犬に生姜を与えるなら生の生姜をすりおろすのがおすすめです。与える量はほんとうに少量で大丈夫です。
ターメリック(ウコン)
ターメリックはショウガ科ウコン属の多年草です。ウコンと呼ばれることもあります。
そして、ターメリックは黄色く着色するために使用されることが多いスパイスです。カレーには欠かせないスパイスで、カレーに添えるごはんに加えてターメリックライスにすることもあります。
そんなターメリックは漢方薬として用いられることもあり、肝臓の働きを強め、余計な脂肪の分解を促してくれるという特徴があります。
ナツメグ
ナツメグはニクズク科の常用高木の一種です。肉のにおい消しとして使われることが多く、ハンバーグなどに入っていることが多いでしょう。
ちなみに、ナツメグには銅やマンガンなどのミネラルが多く含まれています。
そして、ナツメグは体を温める働きに優れており、デトックス効果があり、アンチエイジングにも効果があると言われています。また、腸内環境を整えてくれる作用もあり、下痢や便秘の予防にも効果があります。
パクチー
パクチーはセリ科の一年草です。日本ではタイ語の読み方である「パクチー」が有名ですが、英語読みの「コリアンダー」や日本語読みの「香草(こうそう)」で呼ばれることもあります。
そして、パクチーはエスニック料理で主に使われる薬味的な存在です。香りが独特なので苦手としている人も多いですが、独特な香りがクセになる人も多く、近年若い女性を中心にブームになっています。
そんなパクチーにはコレステロール値を下げる効果、抗酸化作用、血糖値を下げる効果、消化を促進する効果、抗菌効果などがあります。
そして、パクチーは消化しやすいように細かく刻んでごはんにトッピングしてあげるのがおすすめです。
バジル
バジルはシソ科メボウキ属の多年草のひとつで、ハーブのひとつです。
ピザやパスタなど、イタリア料理に入っていることが多いでしょう。
そして、バジルにはβカロテンや鉄分が多く含まれており、胃の働きを助けて消化を促進する効果があると言われています。
パセリ
パセリはセリ科の植物の一種で2年草です。
そして、料理の付け合わせとして使用されることが多くあり、苦味があるため、苦手な人も多い香辛料です。
そんなパセリには食物繊維のほか、βカロテン、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。
また、食中毒を予防する効果があるアピオール、殺菌効果があり口臭予防につながるピネンなども含まれています。
そして、目にも良く白内障の予防になるほか、肝臓にもよいとされています。
パセリは生のまま与えたほうが栄養豊富なので、生のまま細かく刻んでトッピングにするのがおすすめです。ただ、苦味があるので、食べてくれない犬も多いかもしれません。
フェンネル(ウイキョウ)
フェンネルはハーブの一種です。特に種子や若い葉っぱはハーブや香辛料として用いられます。
ちなみに、日本ではウイキョウと呼ばれ、生薬として利用されてきました。
そして、フェンネルには消化や吸収を助ける働きがあります。そのため、フェンネルは特に軟便になりやすい犬に適してます。
ちなみに、フェンネルはハーブティーを作り、冷ましてから与えるといいでしょう。
ミョウガ
みょうがはショウガの仲間の野菜です。日本では花も茎も香味野菜として古くから親しまれています。このように、日本では身近な野菜ですが、食用に栽培しているのは日本だけで、日本でしか食べられない野菜のひとつです。
そして、みょうがは刺激が強い食べ物なので、与えるなら少量にしましょう。
ちなみに、みょうがは食べてくれない犬もいるかもしれません。もし食べくれなかったら無理に与えるべきではありません。
ミント
ミントはシソ科ハッカ属の植物の総称です。
そして、ミントにはメンソールが含まれているので、殺菌効果やおなかの調子を整える効果などがあります。なので、犬の口臭に効果的であり、嘔吐や下痢などの症状にも効果があります。
そんなミントは新鮮なものを生で与えるといいでしょう。ただ、犬は野菜の消化があまり得意ではないので、細かく刻んであげるのがおすすめです。
そして、ミントの独特な香りを好まない犬もいます。
ローズマリー
ローズマリーはシソ科の常緑性低木です。ハーブとして有名な植物です。
そして、ローズマリーには強い抗酸化作用があるほか、抗菌作用、殺菌作用、尿を出やすくする効果、自律神経を整える効果などがあります。
また、ローズマリーが入ったものを飲むと、肝臓の機能が活性化し、胃や腸などの不調も改善してくれます。
ちなみに、ローズマリーはハーブティーとして与えるのが一般的ですが、少し刺激的な香りをしています。なので、ローズマリーティーを愛犬に与える場合、人間が飲むときよりも水で薄めて与えるべきでしょう。
ローリエ
ローリエはクスノキ科ゲッケイジュ属の植物です。日本では月桂樹と呼ばれることもあります。また、英語ではベイリーフと呼ばれます。
ローリエは有名な香辛料であり、肉や魚の臭みを取るために使用されることが多いでしょう。そして、シチューやカレーなどの料理に使われることが多いです。
そんなローリエには腸内環境を整えてくれる作用や血行を良くする効果、痛みや炎症を抑えてくれる効果などがあります。
トウガラシ、わさびなど辛い味がして刺激が強い香辛料は犬に与えないほうがいいですし、八角やクローブなども避けたほうがいいと思います。
一方、香りづけや臭み取りなどに使用される香辛料は犬に与えても大丈夫な場合が多いです。例えば、バジルやパセリ、ローリエなどです。
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