愛犬にエトキシキンを与えてはいけません。
エトキシキンは安いドッグフードの酸化防止剤として用いられています。そして、危険性は広く知られていると思いますが、その理由まで知っている人はなかなかいないのではないでしょうか。
そこで、この記事では「犬にエトキシキンを与えてはいけない理由」について解説していきたいと思います。
安価で酸化防止効果が高いが、毒性も高い
エトキシキンは酸化防止効果がとても高くて価格もとても安いという、業者にとっては魅力的な酸化防止剤ですが、毒性が強い物質でもあります。
そして、昔は規制がありませんでしたが、今ではエトキシキンの添加量は75ppmが上限です。
エトキシキンを含んだドッグフードを食べると、アレルギー反応、皮ふ病、主要臓器の障害、異常行動、がんなどが引き起こされる可能性があります。
そもそも酸化防止剤って何?
そもそも酸化防止剤とは、物質の酸化を防ぐために配合される成分です。
犬はもともと肉食の生物なので、ドッグフードには肉類が多く含まれています。肉類にはもちろん油が含まれていますが、油は酸化しやすい物質です。光や酸素などに触れてしまうとすぐに酸化してしまいます。
そして、酸化するとドッグフードの味が落ちてしまい、食いつきも悪くなってしまいます。また、嘔吐や下痢などが引き起こされてしまうこともあります。
これを防ぐのが酸化防止剤です。酸化防止剤は物質の酸化を防いでくれるのです。そして、酸化防止剤には天然由来のものと化学的に合成されたものがあります。化学的に合成された酸化防止剤は3種類が認可されていますが、エトキシキンはそのうちのひとつです。
エトキシキンがドッグフードに使われている理由
エトキシキンはもともとアメリカのモンサント社が1950年に開発した合成の酸化防止剤です。酸化防止効果がとても強力であり、価格もとても安いため、化学的に合成された酸化防止剤の中ではもっとも頻繁に用いられています。
アメリカがベトナム戦争のときに枯葉剤の酸化防止剤として用いたことでも有名です。
そして、アメリカへ輸入される魚粉には必ず一定量のエトキシキンを添加しなければならないので、アメリカのドッグフードで魚粉が含まれている場合、必ずエトキシキンが含まれています。
エトキシキンの危険性
実は、エトキシキンは酸化防止効果がとても高くて価格もとても安いという、業者にとっては魅力的な酸化防止剤ですが、毒性が強い物質でもあります。
エトキシキンには以下のような注意書きがされているくらいです。
- 目や皮ふには決して触れないようにする
- もしエトキシキンに触れてしまったら必ず洗い流す
- 保管するときにはエトキシキンを吸収するような物質からは離して保管する
毒性が強いのでエトキシキンは、日本では人の食品添加物としても、人用に栽培される作物の農薬としても使うことができません。
ただ、畜産動物の餌などの添加物としては認可されているため、飼料用の油脂や魚粉などには含まれています。
そして、日本には2009年以前にはペットフードに含まれるエトキシキンのような添加物を規制する法律すらありませんでした。その当時はエトキシキンが使い放題だったのです。
ただ、2009年にペットフード安全法ができ、添加物の量は規制されるようになりました。具体的には、エトキシキンは75ppmが上限です。ちなみに、ppmとは100万分の1という意味です。例えば、1トンの原料の中には75g以上のエトキシキンを添加してはいけません。
また、化学的に合成された酸化防止剤にはほかにBHTとBHAがありますが、この3つの酸化防止剤の合計量の上限も定められています。3つ合わせて150ppmが上限です。
ただ、原材料を作る段階で使われた添加物に関してはドッグフードの会社に責任はないと考えられているため、ドッグフードの会社が添加物を添加した場合、二重で添加物が添加されているかもしれません。ちなみに、原材料を作る段階で添加物を使用することで添加されている添加物を隠すことをキャリーオーバーと呼びます。
そして、キャリーオーバーを使えば、実際には添加物が使われているのに無添加であると言い張ることができます。ドッグフードの会社自体は添加物を添加していないからです。
無添加なのに保存期間が1年もあるドッグフードなどにはキャリーオーバーを使って添加物が付与されている場合もあるので注意が必要です。
エトキシキンを食べたときの症状
エトキシキンを含んだドッグフードを食べると、アレルギー反応、皮ふ病、主要臓器の障害、異常行動、がんなどが引き起こされる可能性があります。
がんについては特に腎臓、膀胱、胃、大腸などのがんが引き起こされるリスクが高めです。
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