みなさまはドッグフードをどのように保存しているでしょうか。
実は、ドッグフードの選び方と同じくらい、ドッグフードの保存方法も大切なんです。
そこで、この記事ではドッグフードの保存方法について詳しく解説していきたいと思います。
高温多湿や直射日光を避け、冷暗所に密閉して保存しよう
ドッグフードは高温多湿や直射日光を避け、冷暗所に密閉して保存するようにしましょう。
そして、ドライフードの場合には常温で、ウェットフードの場合には冷蔵庫に保存するのがおすすめです。
そもそもなぜ保存に気をつける必要があるの?
そもそも、ドッグフードの保存に気をつけなければならないのはなぜなのでしょうか。この質問に答えられる人は意外と少ないと思います。
そこで、まずはそこから見ていきましょう。
ドッグフードの保存に気をつけなければならないのは、簡単に言うとドッグフードの腐敗を防ぐためです。
そして、ドッグフードが腐敗する原因にはいくつかありますが、一番気をつけなければならないのは酸化です。酸化とは、簡単に言うとドッグフードと空気中の酸素がくっついてしまうことです。
酸素はとくに油とくっつきやすいのですが、酸素と油が結びつくと過酸化脂質という物質ができてしまいます。
この過酸化脂質が厄介で、これが増えるとキツいにおいが出るようになってしまい、ドッグフードの食いつきが悪くなってしまい、下痢や嘔吐などの原因になってしまうこともあります。
そして、過酸化脂質を長期的に摂取してしまうと、犬の体の中で活性酸素が増えてしまって老化をはやめる原因になってしまったり、動脈硬化などの原因になってしまったりするかもしれません。
ちなみに、フードが酸化しているかどうか見た目で確かめるのは難しいですが、上でも言った通りキツいにおいがするので、においで判別することができます。
そして、酸化は空気に触れる環境、高温多湿の環境、光が当たる環境などで起こりやすいので注意が必要です。
また、酸化以外にも保存に気をつけなければならない理由はあります。
たとえば、ドッグフードをそのまま放置してしまうと虫が湧いてしまったり、ほこりが入ってしまったりしますし、高温の場合には傷んでしまいます。
どちらにしろ、ドッグフードは保存に気をつける必要があるのです。
保存のポイント
ドッグフードの保存のポイントは大きくわけて3つあります。それぞれ見ていきましょう
①空気に触れさせない
先ほどもお話しましたが、酸化は空気中の酸素とドッグフードが触れ合うことで起こります。そのため、空気に触れさせないことはとても大切です。
具体的には、まず外の空気と触れ合うことが無いように、封をきちんと締めてあげましょう。これだけでだいぶ違います。
そして、ドッグフード容器の中に入っている空気を追い出してあげることも大切です。たとえば、封をするときにできるだけ中の空気を抜いてあげるといいでしょう。
また、手動や自動で空気を抜いて真空状態で保存することができる容器も発売されているので、そちらを用いるのもいいでしょう。
そして、用心するなら、保存容器の中にシリカゲルなどの乾燥剤や、脱酸素剤などを入れてあげると更に効果的でしょう。
また、空気に触れる回数を少なくする工夫も大切です。せっかく封を厳重に締めても、ドッグフードをあげる度に開封していては、1日に数回も空気と触れ合うことになってしまい、効果が半減してしまいます。
これを防ぐためには、1食分ずつ小分けにしてあげるのがおすすめです。小分けにすれば空気に触れるのは小分けにするときとフードを与えるときの2回で済みます。
まとめると、最大限まで空気と触れないようにするなら、ドッグフードを1食ずつ小分けにし、それぞれを真空保存できる容器に入れ、更にその中に脱酸素剤などを入れてあげるべきでしょう。
ただ、ここまでやるとかなりのコストがかかってしまいます。
ドッグフードを1ヶ月程度持たせるだけなら、中の空気をできるだけ入れないようにして密封すればそれで十分です。
ドッグフードが余ってしまい、長期間持たせたいときにだけ上記の方法を用いるといいでしょう。
ただ、酸化を防ぐためには、開封したらできるだけはやく消費するのが一番です。ドッグフードは最悪でも開封してから2ヶ月以内に食べきることができる量を購入するといいでしょう。
②低温低湿度の環境で保管
一般的に、食べ物は水分が多く、温度が高いほど傷むのがはやく、保存しにくいと言われれています。
そして、ドッグフードのうちもっともポピュラーなドライフードは水分が10%程度と少なく、比較的保存しやすい食べ物です。しかし、ドライフードは水分を吸いやすい食べ物でもあります。
そのため、ドライフードを高温多湿の環境に置いておくと高温で傷みやすくなってしまうだけではなく、水分を吸ってしまってますます傷みやすくなってしまうのです。
このことから、ドライフードより水分が多いセミモイストタイプ、ソフトドライタイプ、ウェットタイプのドッグフードはもちろん、ドライフードであっても、高温多湿の環境は避けて保存する必要があります。
具体的には、冬など涼しい季節であれば、家電の近くなど熱くなりやすい場所でさえなければあまり問題になりません。
一方、夏場はエアコンが常に効いている場所など、温度が上がりにくい場所を選んで保存してあげる必要があります。また、梅雨の時期はそれほど暑くはありませんが、湿度が高くなりやすいので注意が必要です。ジメジメしない場所で保存してあげましょう。
③光を避ける
ドッグフードの酸化を防ぐためには光を避けてあげることも大切です。
まず、光として一番に思い浮かぶのは日光でしょう。日光は2つの意味で避ける必要があります。
1つ目は、日光が当たると温度が上昇しやすいからです。上でも解説した通り、温度が上がるとドッグフードが傷みやすくなってしまいます。
2つ目は光自体が酸化反応を促進してしまうからです。
このことから、蛍光灯の光であっても、ドッグフードに当てるのは望ましくありません。ドッグフードはできるだけ光の当たらない場所で保存してあげるようにしましょう。
そして、犬を屋外で飼っている場合、保存する場所だけではなく、ドッグフードを与える場所にも気をつけてあげるようにしましょう。
具体的には、えさの容器はできるだけ日陰に置いてあげましょう。ひなたに置いてしまうと直射日光により、酸化が進んでしまいます。
そして、犬が食べ残した場合は放置せず、すぐに処分しましょう。
ドッグフードの種類ごとの保存方法
ドッグフードには大きくわけて水分が少ないドライフードと、水分が多いウェットフードがありますが、水分の量が違えば、保存方法も異なります。
そこで、それぞれのフードごとの、保存のポイントについて見ていきましょう。
ドライフード
ドライフードは水分量が少なく、比較的保存できる期間が長いドッグフードです。開封後の賞味期限はフードによって異なりますが、1ヶ月のことが多いでしょう。
そんなドライフードは、外気から密封し、常温で冷暗所に保管するといいでしょう。
保存期間が長いからといって油断していると、賞味期限はまだ来ていないのに、腐ってしまうかもしれません。特に、値段の高い無添加のドライフードは強力な酸化防止剤を使ってない分、酸化しやすくなっているので注意が必要です。
ウェットフード
ウェットフードは水分が多く含まれているため、カビや雑菌が繁殖しやすく、保存期間が短いドッグフードです。
具体的には、開封後は2日以内に食べ切るようにしましょう。
そして、開封前の保存期間は長いため、与えるタイミングで開封するといいでしょう。
ちなみに、与える前に加熱すると、もう少し長く持たせることができますが、あまりおすすめはできません。なぜなら、加熱すると風味が弱くなってしまいますし、熱に弱いビタミンも失われてしまうからです。
そして、ウェットフードはもともと入っていた袋などから、清潔な容器に移し替えてあげて保管するといいでしょう。
そして、容器にすでに雑菌が繁殖していては意味がないので、しっかり洗って消毒済みのものを使用してください。
それから、冬など涼しい時期は、おすすめはしないものの、常温で冷暗所で保管していてもよいでしょう。
一方、夏場に常温で保存するのはとても危険で、腐ったり傷んだりしてしまうリスクが高まってしまいます。
そのため、ウェットフードは必ず冷蔵庫で保管するようにしてください。
ちなみに、開封してしまったウェットフードを長期間保存したい場合、冷凍するという方法もあります。
なるべく空気に触れないようにしながらジップロックなどに入れ、冷蔵庫に入れてください。ただ、この場合でも、1週間以内には食べ切るようにしましょう。
これより長く冷凍し続けてしまうと冷凍焼けで味や風味が落ちてしまって、食いつきが悪くなってしまったりします。
そして、解凍するときにはレンジを使うのではなく、自然解凍をするようにしてください。
レンジで加熱してしまうとビタミンなどの熱に弱い栄養素が失われてしまいます。
保存方法の注意
ドッグフードを保存するときには、避けたほうがいいこともあります。
この項では、ドッグフードを保存するときの注意点について見ていきましょう。
食べ残しを袋に戻すのはNG
ドッグフードを犬が食べ残してしまうことがあるかもしれません。
その場合に、食べ残しをドッグフードが入っている袋に戻すのはやめましょう。
残したフードには犬の唾液などにいた微生物などが含まれており、これが袋の中で繁殖して腐敗の原因になったり、微生物が繁殖したドッグフードを食べることで病気になってしまったりするかもしれないからです。
もったいないと思うかもしれませんが、愛犬の健康を守るために、食べ残しは捨てるようにしましょう。
ニオイ移りに注意
ドッグフードは、ニオイが強いものの近くに置いて保管しておくと、ニオイが移ってしまうかもしれません。
そして、犬はニオイでおいしい食べ物かどうか判別するため、ニオイが移ったドッグフードは食べてくれなくなってしまう可能性があります。
ニオイが強いものの近くは避けて保管するようにしましょう。
袋を輪ゴムでとめるだけでは不十分
ドッグフードの袋を輪ゴムでとめて保管している人はそこそこいるかもしれませんが、これでは不十分です。
なぜなら、この保存方法では虫やほこりが入ることは防げますが、外の空気から遮断することはできていないからです。最低でも袋どめクリップを使って保管するようにしましょう。
冷蔵庫での保管に注意
特に指定がない限り、ドッグフード、特にドライフードを冷蔵庫で保管するのは避けるようにしましょう。
なぜなら、出し入れするときの温度変化で結露が発生してしまい、ドッグフードが湿気ってしまうからです。そして、ドライフードが湿気るとカビなどが発生しやすくなってしまいます。
ただ、ウェットフードの場合は冷蔵庫での保管で全然大丈夫です。ドライフードの場合には、冷蔵庫ではなく、常温で冷暗所に保管するようにしましょう。
おすすめ保存容器
この項ではおすすめの保存容器について解説していきたいと思います。
ちなみに、この項では具体的な商品名を出すわけではありません。
具体的なおすすめ商品が知りたい場合には、こちらの記事を参照してください。
ジップロック
ジップロックは言わずと知れた有名な保存容器ですよね。チャックがついたプラスチック製の袋になっていて、手軽に食べ物を保存することができます。
ちなみに、ジップロックを用いる場合、1袋に入っているフードをすべて1袋のジップロックに入れてしまっても大丈夫ですが、食事1回分ずつに小分けしてあげるのもおすすめです。
小分けにして保存してあげれば空気と触れる回数が少なくなるため、フードの酸化を防ぐのに効果的です。
ただ、多くの袋を用意しなければならないのでお金がかかる上、手間もかかります。
フードストッカー
フードストッカーは開封したドッグフードを移し替えるのに適したプラスチックの箱状の容器です。ペットショップなどで見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。
ストッカーのふたの裏にはゴムのパッキンがついており、外気から密閉することができます。
そのため、開封したドッグフードを移し替えれば、長い間保存することができます。
また、ドッグフードをすくうためのスコップもついてるため、特にドライフードにおすすめです。そして、フードストッカーは底に脱酸素剤などを入れることができるのもポイントです。
そして、フードストッカーにはさまざまな種類があり、真空保存ができるもの、ストッカーの底からフードを出せるタイプのものなどもあります。自分に適したものを選ぶといいでしょう。
フードディスペンサー
フードディスペンサーとは、ハンドルを回すだけで毎回同じ量のドッグフードを下から出すことができる、ドリンクバーのドッグフードバージョンのような保存容器です。
フードは上から継ぎ足すようになっているため、古いフードがいつまでも残ってしまうことがなく、便利です。ただ、このように便利な分、フードストッカーよりやや値段が高い商品が多いでしょう。
ペットボトル
ドッグフードの保存容器にお金をかけられないという人は、ペットボトルを活用するという方法もあります。
真空保存をするのは難しいものの、外気から密閉する能力は高く、小分けにも適していて、経済的でもあります。
ペットボトルは注ぎ口が狭く、そこからドッグフードを入れるのは大変だと思うので、じょうごと組み合わせて使ってあげるとよいでしょう。
ただ、もともと入っていた飲み物ののニオイが移りやすいので注意が必要です。ニオイが強いと、愛犬がドッグフードを食べてくれなくなってしまうかもしれません。
保存容器として活用する前にしっかりと洗い、ニオイがしなくなってから使うようにしましょう。
保存容器を売っている場所
保存容器は、しっかりと現物を見たい場合には、ホームセンターへ買いに行くのがおすすめです。
保存容器はもちろんペットショップでも売っていますが、大型のホームセンターのほうが品揃えは豊富です。
また、通販なら更に多くの商品の中から選ぶことができます。そして、おしゃれな容器も多いでしょう。ただ、通販は直接確かめることができないのが難点です。
酸化防止剤を用いているドッグフードのほうがいい?
これまでドッグフードの保存方法についてお話してきましたが、ここまで記事を読んでくださった方の中には、保存に気を使うくらいだったら強力な酸化防止剤が入っていて、長期間保存できるようなドッグフードのほうがいいのではないかと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、それは違います。確かに酸化防止剤や保存料で酸化を遅らせているドッグフードは長く保存することができて便利です。
ただ、酸化防止剤や保存料の中には、犬の健康に悪影響を与えてしまうような危険なものも多くあります。
特に、人工的に合成された酸化防止剤は危険なので、使っているドッグフードは選ばないほうが愛犬のためでしょう。
たとえば、BHA、BHT、エトキシキン、没食子酸(もっしょくしさん)プロピルなどです。
ドッグフードに酸化防止剤が使われている事自体はそこまで問題ないのですが、酸化防止剤を用いるなら、ビタミンC、ビタミンE、ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物など、天然由来のものにするべきです。
ドッグフードは一度に多く購入したほうがお得?
多くのドッグフードは、量が多く入っているものほど割安になっています。そのため、ドッグフードはできるだけ大袋のものを購入したほうがお得だと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、それは違います。
確かに、単純に価格だけで見れば安いですが、賞味期限内に食べ切れなければ残りは捨てなければならず、結局小さいパッケージのものを購入したほうがお得、ということになってしまいます。
ちなみに、賞味期限が過ぎても食べさせ続けた場合、上で解説したような健康被害が出てきてしまい、犬を病院へ連れて行かなければならなくなるかもしれません。
そうなると治療費を払わなければならなくなり、これも損です。
そして、ドッグフードは開封してから1ヶ月以内、長くても2ヶ月以内に食べ切るように言われているものが多いです。
そのため、最悪でも2ヶ月以内に食べ切れるような大きさのパッケージを買うのが一番お得ということになるでしょう。