愛犬に栗を与えても大丈夫なのでしょうか? 答えはイエスです。
ドッグフードに栗が使われていることはまれですが、栗はとても身近な食材ですよね。秋になると食べるという人も多いと思います。なので、愛犬にも栗を与えたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では「犬に栗を与えるときに必要な知識」について解説していきたいと思います。
栗の効果効能
栗には食物繊維が豊富に含まれています。そのため、腸内環境を整えてくれる効果があります。また、栗はカロリーが多くたんぱく質も多く含まれているので、ごはんを食べなくなってしまった犬の栄養補給にも適しています。
そして、栗にはビタミンEやビタミンCも含まれているため、抗酸化作用があります。つまり、犬の体を若々しく保つのに役立つのです。
また、栗は甘味があって犬が喜びます。そのため、食欲が落ちている犬のおやつとして用いることもできます。
栗の栄養成分
栗に含まれている主な栄養素は以下の通りです。
成分名 | 成分量(100gあたり) |
---|---|
水分 | 58.8g |
たんぱく質 | 2.8g |
炭水化物 | 36.9g |
食物繊維 | 4.2g |
ビタミンB1 | 0.21㎎ |
ビタミンB6 | 0.27㎎ |
葉酸 | 74μg |
ビタミンC | 33㎎ |
カリウム | 420㎎ |
カルシウム | 23㎎ |
マグネシウム | 40㎎ |
亜鉛 | 0.5㎎ |
マンガン | 3.27㎎ |
[出典:食品成分データベース(文部科学省)] 炭水化物は脂肪やたんぱく質と並んで三大栄養素のひとつです。犬は人間と比べて必要な炭水化物の量が少ないですが、決して不要なわけではありません。 そして、炭水化物は犬の体内で主にエネルギー源として利用されます。また、すぐ使わない分は体脂肪として蓄積されます。 食物繊維には腸内環境を整える作用があります➀炭水化物
➁食物繊維
➂ビタミンB1
ビタミンB1は糖質からエネルギーを生産したり、皮膚や粘膜の健康を保つのを助けたりする役割があります。ビタミンB1が欠乏すると食欲がなくなったり、疲れやすくなったりします。
➃ビタミンB6
ビタミンB6はたんぱく質をエネルギーに変換したり、筋肉や血液などを作ったりするときに働いています。なので、たんぱく質を多くとるほどたくさんのビタミンB6が必要になり、皮ふや粘膜の健康維持にも役立っています。
➄葉酸
葉酸はビタミンB群の一種です。緑の葉っぱに多く含まれているため、葉酸という名前が付きました。葉酸はたんぱく質や細胞を作るときに重要な役割を果たしています。そして、ビタミンB12と協力して血液を作る働きもあります。
➅カリウム
カリウムは体内で水分の調整を行っています。体内で増えすぎたナトリウムの排泄を促す働きもあります。また、心臓や筋肉の働きを調節したりする役割も持っています。
➆マグネシウム
マグネシウムは体内で骨や歯をつくるために使われています。そして、マグネシウムは体内で不足すると骨から遊離して神経の興奮を抑えたり、エネルギを作ったり、血圧を維持したりするのに利用されます。
➇亜鉛
亜鉛は体内で作り出すことができないため、食事で摂取する必要があります。
そして、亜鉛には体内のさまざまな働きをサポートして正常に保つ役割があります。具体的には味覚を正確に保ったり、免疫力を向上させたり、新陳代謝を活性化させたり、毛並みや肌の健康を保ったり、抗酸化作用を活性化したりします。
➈マンガン
マンガンはさまざまな酵素の構成成分になったり、さまざまな酵素を活性化したりします。具体的には糖質や脂質を代謝するために働く酵素や抗酸化作用のある酵素などの構成成分になっています。また、骨の形成にも関与しています。
栗の注意点
与えすぎに注意!
栗には食物繊維が豊富に含まれています。また、栗は消化によい食べ物ではありません。そのため、栗を与えすぎると消化不良の原因になってしまい、下痢や嘔吐などが引き起こされてしまう可能性があります。
そして、栗にはカリウムも豊富に含まれているため、与えすぎるとおしっこの回数が増えたり、おもらしをしてしまったりするかもしれません。特に腎臓や心臓が悪い犬はカリウムを多く摂取すると良くないので注意が必要です。
また、栗には炭水化物が多く含まれているため、与えすぎると犬が太ってしまうかもしれません。そして、栗だけでおなかがいっぱいになってしまい、ふだんのフードを食べなくなってしまう可能性もあります。そうなると栄養が偏ってしまいます。
そして、マグネシウムも多く含まれているため、結石の原因になってしまう恐れもあります。
生の栗に注意!
人間も生の栗は食べませんが、犬に与えるときにも生はやめましょう。消化に悪いので、消化不良になってしまう可能性があります。
皮に注意!
栗には外側にある鬼皮と内側にある渋皮がありますが、犬にはどちらも与えないようにしましょう。消化に悪いため、これらの皮を与えてしまうと消化不良の原因になってしまう可能性があります。
また、鬼皮はかたいのでのどや消化器官などを傷つけてしまう場合もあり、危険です。
ちなみに、栗の鬼皮はむきにくいですが、一晩水につけておくとむきやすくなります。そして、底から頭に向かってむくと、うまくむくことができます。
加工品に注意!
栗の加工品の中には、与えてもいいものと、与えるべきではないものがあります。それぞれ見ていきましょう。
栗きんとん・栗の甘露煮
栗きんとんや甘露煮は犬に与えないほうがいいでしょう。栗きんとんや甘露煮には多くの糖分が含まれており、犬が食べると糖分のとりすぎになってしまうからです。
また、犬が砂糖の味を覚えてふだんのフードを食べなくなってしまう恐れもあります。栗きんとんや甘露煮を与えるなら、砂糖を使用しないで手作りしたものにしましょう。
甘栗
甘栗は加熱済みのものがスーパーなどに売られていることはありますが、原材料が栗だけのものなら与えても問題ありません。
ただ、保存料や砂糖などが使われていたら犬に与えないほうがいいでしょう。
マロングラッセ
マロングラッセは栗を砂糖漬けにして作ったお菓子です。言うまでもないですが、糖分のとりすぎになってしまうので、犬に与えないほうがいいでしょう。
また、洋酒が使われることもあり、その点も犬には適していません。
栗ご飯
栗ご飯はネギ類や調味料を使わずにたいたものなら犬に与えても問題ありません。
ただ、市販の栗ご飯の調理セットや弁当として売られている栗ご飯は犬が食べることが想定されていないので与えるのはやめておきましょう。
モンブラン
人間用に作られたモンブランには脂肪や砂糖が多く含まれています。そのため、犬に与えるべきではありません。また、犬に絶対に犬に与えてはいけない食品である洋酒やチョコレートが使われている可能性もあります。これらが使われている場合には、絶対に犬に与えないようにしましょう。
栗ヨウカン
栗ヨウカンの主原料は小豆、寒天、栗です。これらは加熱してあれば犬へ与えても問題ありませんが、ヨウカンには砂糖が多く含まれています。
そのため、犬に与えるのはおすすめできません。
栗の種類について
栗にはさまざまな種類があります。
まず、日本で一番よく食べられているのはニホングリでしょう。栗ご飯などを作るときには、たいていニホングリが使われています。
次に、チュウゴクグリという種類もあります。チュウゴクグリは天津甘栗で有名です。また、ヨーロッパグリという種類もありますが、これはモンブランによく使われています。
そして、世界的にはアメリカグリも有名ですが、これは日本ではあまり食べる機会がありません。
栗の与え方
栗は皮をむくと表面がつるつるで犬が丸呑みしやすい食べ物です。しかし、丸呑みしてしまうと消化されずに喉や腸に詰まってしまう可能性があります。
そのため、栗は細かく刻んだり、裏ごししたりして消化に良くしてから与えるようにしましょう。また、フードプロセッサーなどでくだいてペースト状にしてあげるとさらに消化に良くなるのでおすすめです。
そして、いつものフードにトッピングしてあげるのもいいですし、おやつとして与えるのもいいでしょう。
ちなみに、適量は中型犬なら15gほどです。これは、中くらいの栗なら1つくらいにあたります。
ただ、適量は個体によって異なります。与えたら次の日には便を確認するようにしましょう。そして、もし便が緩くなっていたら、それは与えすぎということです。量を減らすようにしましょう。
また、はじめて与えるときにはごく少量にしましょう。アレルギーの可能性もありますし、栗が犬の体質に合っていない可能性もあるからです。