愛犬に煮干しを与えても大丈夫なのでしょうか? 答えはイエスです。
ドッグフードに煮干しが使われていることはまれですが、煮干しは身近な食材です。なので、煮干しを犬に与えてもいいのかどうか気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では「犬に煮干しを与えるときに必要な知識」について解説していきたいと思います。
そもそも煮干しって何?
煮干しは縄文時代よりも前から日本で食べられている食べ物です。
東日本では「煮干し」と呼ばれますが、西日本では「いりこ」、ほかには「じゃこ」と呼ばれることもあります。
そして、煮干しは厳密には「魚介類を煮て干した食材の総称」ですが、日本でもっとも一般的に食べられているのはカタクチイワシの煮干しです。
ちなみに、ほかにはマイワシ、ウルメイワシ、キビナゴ、サバ、トビウオなどが煮干しの材料になることがあります。
犬に煮干しを食べさせても大丈夫
結論を申し上げると、ワンちゃんに煮干しを与えても問題ありません。
おやつや間食時に少量の煮干しをあげれば、タンパク質やカルシウムなどの豊富な栄養素が効率よく摂取できます。
ただし、煮干しには塩分が含まれています。
ワンちゃんの健康面にいい働きを見せてくれる成分が含まれているとは言え、一度に大量の煮干しを食べてしまうと、塩分の過剰摂取により、心臓や腎臓に多大なる負担を与えてしまいます。
なので、ワンちゃんに煮干しを食べさせるときは、与える量に注意しつつ、ドッグフードのトッピングやおやつとして与えるのがいいでしょう。
煮干しの栄養成分
煮干し(カタクチイワシ)に含まれている主な栄養素は以下の通りです。
成分名 | 成分量(100gあたり) |
---|---|
水分 | 15.7g |
たんぱく質 | 64.5g |
脂質 | 6.2g |
ビタミンB12 | 41.3μg |
カリウム | 1200㎎ |
ナトリウム | 1700㎎ |
カルシウム | 2200㎎ |
マグネシウム | 230㎎ |
リン | 1500㎎ |
鉄分 | 18㎎ |
亜鉛 | 7.2㎎ |
[出典:食品成分データベース(文部科学省)] たんぱく質は三大栄養素のひとつであり、生きていく上で特に重要な栄養素です。血液や筋肉などの体をつくる主要な成分であり、体内で酵素など生命時に欠かせない物質にも変換されます。そして、エネルギー源になることもあります。 ビタミンB12は葉酸と協力して赤血球の中に含まれているヘモグロビンを作るのに役立っています。また、脳からの指令を体全体に伝える神経を正常に保つ効果もあります。 カリウムは体内で水分の調整を行っています。体内で増えすぎたナトリウムの排泄を促す働きもあります。また、心臓や筋肉の働きを調節したりする役割も持っています。 ナトリウムはカリウムとともに体内の水分バランスなどを維持しています。また、栄養素の吸収や輸送、血圧の調整などにも関与しています。また、ナトリウムは胆汁、膵液、腸液などの原料でもあります。 カルシウムは骨や歯を形成するために必要不可欠です。また、筋肉を動かすためにも必要です。ただ、過剰に摂取すると逆に骨折などが起こってしまう可能性があります。そのため、適切な量を与えることが重要です。 マグネシウムは体内で骨や歯をつくるために使われています。そして、マグネシウムは体内で不足すると骨から遊離して神経の興奮を抑えたり、エネルギを作ったり、血圧を維持したりするのに利用されます。 85%のリンは体内でカルシウムやマグネシウムと一緒に骨や歯を作る成分になっています。また、15%は筋肉や脳や神経などに存在し、エネルギーを作り出すのに役立ちます。 ただ、リンはとりすぎてしまうとカルシウムを奪ってしまい、骨が弱くなってしまいます。また、腎臓の負担にもなります。 鉄分は血液のヘモグロビンの中に含まれ、酸素を運ぶために必要です。また、エネルギーを作り出すためにも必要です。 亜鉛は体内で作り出すことができないため、食事で摂取する必要があります。 そして、亜鉛には体内のさまざまな働きをサポートして正常に保つ役割があります。具体的には味覚を正確に保ったり、免疫力を向上させたり、新陳代謝を活性化させたり、毛並みや肌の健康を保ったり、抗酸化作用を活性化したりします。 EPAは血液を正常に保ちます。具体的には血栓をできにくくしたり、高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを予防したりします。 また、DHAには血液を正常に保つほか、脳や神経組織を育てたり、機能を正常に保ったりする働きもあります。 イノシン酸はうま味成分として知られています。そして、イノシン酸はDNAの原料なので細胞が活性化されて新陳代謝が促進されます。 また、イノシン酸には皮ふの健康を保つ効果、風邪を引きにくくなる効果などもあります。 イワシペプチドはイワシに含まれており、たんぱく質が水と反応して作られる物質です。たんぱく質より消化や吸収によいため、たんぱく質源として適しています。また、イワシペプチドには血流改善効果や脂肪燃焼効果もあります。 前節で煮干しに含まれている12種類の栄養素を解説しました。 いずれも、ワンちゃんの健康面や成長に必要不可欠な栄養素であると同時に、ドッグフードや煮干しでしか補給ができない栄養素も含まれています。 ここでは、前節で紹介した12種類の栄養素を摂取することで得られる効果を解説して行きます。 煮干しには、牛乳の約20代ものカルシウムが含まれているので、効率よくカルシウムの補給ができます。 摂取したカルシウムの大部分は、骨や歯の形成に使用され、骨密度が濃く丈夫な骨と歯にしてくれます。 ワンちゃんにとって動物性タンパク質は、健康維持や成長に必要な栄養素です。 タンパク質は、鶏肉や豚肉などの肉類から摂取できますが、煮干しに含まれているタンパク質は、鶏肉や豚肉などに含まれているタンパク質よりも量が多く、脂質成分も低めです。 加えて、タンパク質は魚由来のものなので、鶏肉や豚肉から採れるタンパク質がアレルギーというワンちゃんでも効率よくタンパク質の摂取ができます。 煮干しの原材料であるカタクチイワシには、多価不飽和脂肪酸であるDHAやEPAが豊富に含まれています。 DHAには、脳や神経の老化防止に効果がありEPAには体内に蓄積したコレステロールを下げて、血の流れを良くしてくれる効果があります。 さらに、ドッグフードの味付けや風味付けにも使用される機会が多い鰹節にも含まれているイノシン酸が煮干しにも含まれています。 イノシン酸はドッグフードの味に関与するだけじゃなく、ワンちゃんの新陳代謝を活発にしてくれる効果もあります。 ワンちゃんに煮干しを与えても問題はありません。 しかし、煮干しには海水由来の塩分が含まれており、人間にとってはちょうどいい塩加減でも、ワンちゃんにとっては、塩分の過剰摂取につながる恐れがあります。 ここからは、ワンチヤンに煮干しを与える時に気を付けることを2つ解説します。 ワンちゃんの中には、魚由来のタンパク質に対してアレルゲンを持つ子もいます。 煮干しは、カタクチイワシなどの小魚を干したものであり、そこに含まれている栄養素は、干した魚が持つ栄養素に依存します。 つまり、煮干しに含まれている魚由来のタンパク質に対して強いアレルギー反応を示す恐れがあります。 愛犬に魚アレルギーの疑いがあるかわからないときは、様子を伺いながら少しずつ煮干しを与えていきましょう。 煮干しを口にしてから下痢や嘔吐、皮膚に赤い湿疹などが見られたら、与えるのをやめ、すぐに動物病院で診察を受けましょう。 冒頭でも紹介したように、煮干しには、豊富な栄養素が詰まっているので、不足しがちな栄養を補給する目的で与えても問題はありません。 しかし、煮干しには海水由来の塩分が含まれており、ワンちゃんが一度に大量の塩分を摂ってしまうと、過剰摂取によって心臓病や高血圧などの病気を誘発する恐れがあります。 また母子を与える時に気を付けなければならないのは、塩分だけじゃなく、健康にいいとされている栄養素の過剰摂取にも気を付けなければなりません。 煮干しを一度に大量摂取してしまうと、尿路結石症や黄色脂肪症を発症するリスクが高まります。 尿路結石症は、煮干しに含まれているマグネシウムというミネラル成分の過剰摂取が原因で発症する病気です。 結石は、尿の通り道である尿管にでき、一度、発症すれば、排尿のたびに激痛が走ったり、尿そのものを体外に排出するのが困難になります。 尿の排出が困難になれば、血液をろ過し続けている腎臓の機能が低下し、最悪の場合、尿毒症という病気になって命を落とす可能性があります。 また、腎臓の不調はわかりにくく、気づかないうちに先の病気になっていることもあります。 もしワンちゃんに、以下のような症状が診られたら、病院に連れていきましょう。 黄色脂肪症とは、サンマやカツオなどの青魚に含まれている不飽和脂肪酸を過剰摂取することで発症する病気です。 不飽和脂肪酸には、血中のコレステロール値を下げて、動脈硬化の予防になるなど、健康維持に最適です。 しかし、これは不飽和脂肪酸を少量摂取した場合に限られ、不飽和脂肪酸を一度に大量摂取すると、体内の脂肪を酸化させ、以下のような症状が診られます。 これらの症状が出たら、すみやかに動物病院へ連れていってあげましょう。 ワンちゃんの健康にいい効果をもたらしてくれる煮干しを、たくさん与えてしまうと、栄養や塩分の過剰摂取が原因で様々な病気を誘発する恐れがあります。 病気発症のリスクを軽減させるためには、1日に与えてもいい煮干しの量を知っておくことで、ワンちゃんの健康管理が行えます。 原則として、煮干しの適量は1日当たり1~2匹が最適です。 多くても1日当たりの摂取カロリーの20%は超えないように心がけましょう。 また塩分のとりすぎを防ぐために、一度あげたら数日は与えないなど、健康上のルールを設けるのもいいでしょう。 煮干しには、いい意味でワンちゃんの健康や成長に作用する成分が含まれている一方で、大量に与えてしまうと、それが悪い方向に行ってしまう恐れがあります。 ここでは、リスク軽減を図りながら、ワンちゃんに煮干しを与える方法を解説します。 ワンちゃんに煮干しを与えるなら、ペット用の煮干しがおすすめです。 ペット用の煮干しは、犬や猫などが食べることを前提に作られており、含まれている塩分の量が少ないので、塩分の摂り過ぎで高血圧になる心配がありません。 またペット用の煮干しには、無塩のモノや添加物不使用のものなどもあります。 なお、ペット用の煮干しを与えるときは、細かくちぎってから与えましょう。 そのままの状態で煮干しを与えてしまうと、煮干しを吐き出してしまったり、のどや消化管を傷つけてしまう恐れがあります。 人間用のものでも、減塩や無塩の煮干しであれば、ペット用じゃなくても問題なく与えられます。 とはいえ、人間の味覚を基準に調理された食品なので、このまま与えても大丈夫なのかと思う飼い主もいます。 そういう方は、一度煮干しを湯通しして、煮干しに含まれている塩分を減らしてから与える方法がおすすめです。 加えて、出し汁をとった後に出た煮干しを与える方法もあります。 湯通ししたものは、塩分が少なく身もほぐれている状態なので、消化にも優しいです。 ここまで、ワンちゃんに煮干しを与えることで得られる効果や正しい与え方について解説してきました。 煮干しには、ワンちゃんの健康面や成長面にいい効果をもたらしてくれる栄養が豊富に含まれています。 普段食べているドッグフードへのトッピングとして使用したり、たまに与えるおやつとしても煮干しは最適な食品です。 しかし、一度に大量の煮干しを与えてしまうと、嘔吐や下痢を繰り返してしまったり、場合によっては、心臓病や高血圧など、命にかかわる病気を発症する恐れがあります。 健康のためを思って煮干しを与えた結果、ワンちゃんが体調を崩してしまっては意味がありません。 ワンちゃんに長生きしてもらうためにも、煮干しがワンちゃんの健康面に作用する効果や栄養素を理解してから与えるようにしましょう。 ドッグフードの達人では、160種類以上のドッグフードを5点満点で評価したうえで、S〜Eランクでランクづけしています。 最もおすすめなのは、「Sランク」のドッグフードです。 A〜Eランクの商品とも比較したうえで、愛犬にぴったりなドッグフードを見つけましょう。➀たんぱく質
➁ビタミンB12
➂カリウム
➃ナトリウム
➄カルシウム
➅マグネシウム
➆リン
➇鉄分
➈亜鉛
➉DHA・EPA
⑪イノシン酸
⑫イワシペプチド
犬に煮干しを食べさせることで得られる効果
丈夫な骨と歯の形成ができる
魚由来のタンパク質が摂取できる
コレステロールの低下や老化予防になる
犬に煮干しを与える時に気を付けること
青魚アレルギーを発症する
栄養素・塩分の過剰摂取で病気になる
尿路結石症
黄色脂肪症
犬が食べてもいい煮干しの適量
犬に煮干しを食べさせる方法
ペット用の煮干しを与える
湯通しした煮干しを与える
犬に煮干しを与えても大丈夫だが1日1~2匹が限度
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