ドッグフードの原材料と成分

犬に「さんま」を与えるときの全知識|内臓や骨も食べて大丈夫?

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愛犬にさんまを与えても大丈夫なのでしょうか? 答えはイエスです。
 
ドッグフードにさんまが含まれていることはまれですが、さんまは身近な食材ですよね。秋になると食べるという人が多くいると思います。なので、愛犬にもさんまを与えたいと考えている人もいるのではないでしょうか。

そこで、この記事では「犬にさんまを与えるときに必要な知識」について解説していきたいと思います。

さんまの効果効能

さんまには良質なたんぱく質が多く含まれています。そのため、たんぱく質源として役に立ちます。また、さんまを食べると必須脂肪酸のひとつであるリノレン酸も多く摂取することができます。

ちなみに、リノレン酸には皮ふ炎を解消したり、がん細胞の増殖を抑制したりする効果などが期待できます。

そして、さんまに含まれているDHAやEPAは老化予防や認知症の予防に効果があり、血液をサラサラにしてコレステロール値を下げる効果もあると言われています。

さんまの栄養成分


さんまに含まれている主な栄養素は以下の通りです。

成分名成分量(100gあたり)
水分55.6g
たんぱく質18.1g
脂質25.6g
ビタミンA16μg
ビタミンB20.28㎎
ビタミンB60.54㎎
ビタミンD15.7μg
ビタミンE1.7㎎
一価不飽和脂肪酸10.58g
αリノレン酸280㎎
リノール酸300㎎
ナトリウム140㎎
カリウム200㎎
カルシウム28㎎
リン180㎎
鉄分1.4㎎

[出典:食品成分データベース(文部科学省)]

➀たんぱく質

たんぱく質は三大栄養素のひとつであり、生きていく上で特に重要な栄養素です。血液や筋肉などの体をつくる主要な成分であり、体内で酵素など生命時に欠かせない物質にも変換されます。そして、エネルギー源になることもあります。

➁脂質

脂質は3大栄養素のひとつです。細胞膜の成分やホルモンの原料などになっています。不足すると正常に成長できなくなったり、皮ふ炎の原因になったりします。また、油にとけるタイプのビタミンの吸収にも役立ちます。

ただ、とりすぎると肥満や生活習慣病などの原因になってしまうので注意が必要です。

➂ビタミンA

ビタミンAとはレチノール、レチナール、レチノイン酸の総称です。このうち、ビタミンAの主要な成分であるレチノールには目や皮ふの粘膜を健康に保ったり、細菌などに対する抵抗力を高めたりする働きがあります。また、薄暗いところで視力を保つ働きもあります。

➃ビタミンB2

ビタミンB2は主に皮膚や粘膜の健康を保つのに役立つビタミンです。代謝を支える重要な役割を持っています。活発に運動する犬ほどたくさんのビタミンB2が必要になります。

➄ビタミンB6

ビタミンB6はたんぱく質をエネルギーに変換したり、筋肉や血液などを作ったりするときに働いています。なので、たんぱく質を多くとるほどたくさんのビタミンB6が必要になり、皮ふや粘膜の健康維持にも役立っています。

➅ビタミンD

ビタミンDは小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進し、血液の中にあるカルシウムの量を調整します。そして、頑丈な骨をつくる働きもあります。

➆ビタミンE

ビタミンEには抗酸化作用があります。抗酸化作用により、さまざまな病気が予防されます。

➇一価不飽和脂肪酸

一価不飽和脂肪酸は動物性脂肪やオリーブオイルなどに多く含まれています。体内で合成することもできます。とりすぎると心疾患や肥満などの原因になってしまうと言われています。

➈αリノレン酸

αリノレン酸は犬の体内で合成することができない、必須脂肪酸の一種です。体内に取り入れられるとEPAやDHAなどに変化します。そして、αリノレン酸にはアトピー性の皮ふ炎を解消したり、がん細胞の増殖を抑制したり、血圧を低下させたり、血液の流れを良くしたりする効果があります。

➉カリウム

カリウムは体内で水分の調整を行っています。体内で増えすぎたナトリウムの排泄を促す働きもあります。また、心臓や筋肉の働きを調節したりする役割も持っています。

⑪カルシウム

カルシウムは骨や歯を形成するために必要不可欠です。また、筋肉を動かすためにも必要です。ただ、過剰に摂取すると逆に骨折などが起こってしまう可能性があります。そのため、適切な量を与えることが重要です。

⑫リン

85%のリンは体内でカルシウムやマグネシウムと一緒に骨や歯を作る成分になっています。また、15%は筋肉や脳や神経などに存在し、エネルギーを作り出すのに役立ちます。

ただ、リンはとりすぎてしまうとカルシウムを奪ってしまい、骨が弱くなってしまいます。また、腎臓の負担にもなります。

⑬鉄分

鉄分は血液のヘモグロビンの中に含まれ、酸素を運ぶために必要です。また、エネルギーを作り出すためにも必要です。

⑭DHA・EPA

EPAは血液を正常に保ちます。具体的には血栓をできにくくしたり、高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを予防したりします。

また、DHAには血液を正常に保つほか、脳や神経組織を育てたり、機能を正常に保ったりする働きもあります。

さんまの注意点

アレルギーに注意!

さんまは青魚の一種です。そのため、さんまの場合も青魚アレルギーには注意する必要があります。

さんまをはじめて与える場合、少量を与えるべきでしょう。

そして、嘔吐、下痢、かゆがる、発疹などアレルギーと思われる症状が出た場合には、青魚アレルギーを疑ったほうがいいかもしれません。

与えすぎに注意!

さんまには多くの脂質が含まれています。そのため、さんまを与えすぎてしまうと脂質の過剰摂取になってしまい、肥満になってしまうかもしれません。

また、脂質を消化しきれなくなって下痢が引き起こされてしまう可能性もあります。そして、さんまを与えすぎてしまうと、さんまだけでおなかがいっぱいになってしまい、ふだんのフードを食べてくれなくなるかもしれません。そうすると栄養が偏ってしまいます。

小骨に注意!

さんまには細かい骨がたくさん含まれています。そして、人がさんまを食べるときには意識してかむ回数を増やすことができますが、犬は与えられた食べ物を丸呑みにして食べてしまう傾向があります。そのため、骨がのどや消化器官を傷つけてしまう可能性があります。

犬へさんまを与えるときには事前に目立つ骨を取り除いてあげるようにしましょう。

また、圧力鍋などで調理して骨を柔らかくしてしまうのもおすすめです。

食中毒に注意!

さんまを食べると食中毒になってしまう可能性があります。特に生で食べる場合には注意が必要です。ちなみに、さんまで考えられる食中毒には主に2種類あります。それぞれ見ていきましょう。

ヒスタミン食中毒

ヒスタミン食中毒とは、ヒスタミンを含む魚を摂取することで起こる中毒です。

魚にはもともとヒスチジンという成分が含まれていますが、これが細菌の持っている脱炭素酵素と反応してしまうと魚肉内でヒスタミンが生まれてしまいます。そして、ヒスタミンが中毒を引き起こしてしまうのです。

例えば、さんまを生のまま常温で放置してしまうと細菌が増えてしまってヒスタミンの量が増加してしまい、中毒になる確率が高くなってしまいます。

そして、ヒスタミンは熱に強いため、一度生成されてしまうと熱で無毒化するのは困難です。

 

ただ、さんまに含まれている細菌を増やさないでおけば、ヒスタミンの中毒は発生しません。そのため、新鮮なさんまを買うようにし、常温での放置は行わないようにしましょう。

ちなみに、ヒスタミンで中毒になってしまうと2時間~3時間ほどで症状が現れてきます。具体的には、舌や顔のしびれ、じんましん、めまいなどの症状が起こると言われています。

アニサキスによる食中毒

アニサキスによる食中毒はアニサキスという寄生虫の一種を含む食品を摂取してしまうことで発生します。そして、アニサキスはサバ、イワシ、サンマ、アジなどの魚介類の内臓に寄生すると言われています。

しかし、内臓を食べていないからといって安心することはできません。アニサキスは寄生している魚の鮮度が落ちてくると内臓から筋肉に移動してしまうからです。

そして、アニサキスが寄生している魚介類を生で食べてしまうとアニサキスが腸壁や胃壁に侵入してしまい、食中毒を引き起こしてしまいます。症状は嘔吐や激しい痛みなどです。

 

ちなみに、アニサキスは熱に弱いため、煮たり焼いたりするとほぼ死滅します。具体的には60℃以上で1分以上で死滅すると言われています。

また、アニサキスは低温にも弱い寄生虫です。そのため、-20℃で24時間冷凍する方法でも死滅させることができます。

ちなみに、お刺身の場合、人間だとよく噛んで食べるとアニサキスの侵入を防ぐことができますが、犬によく噛んで食べさせることは難しいと思います。そのため、お刺身を犬に与える場合は小さく切って与えるようにしましょう。そうすれば少しはアニサキスのリスクを減らすことができます。

ただ、サンマについては基本的に加熱して与えるべきです。

おいしいさんまの選び方

おいしいさんまの基準にはさまざまなものがありますが、まず確認するべきなのはくちばしでしょう。くちばしが黄色いさんまは脂がのっているため、おいしいと言われています。

また、おいしいさんまの基準にはほかに以下のようなものがあります。

  • 背中が青黒く光っていて全身の身がしまっていてハリのあるもの
  • 目が透明で澄んでいるもの
  • 頭から背中にかけて盛り上がっていて身が厚いもの
  • おなかがかたいもの
  • しっぽを持つと一直線に立つもの

さんまを選ぶときには参考にしてみてください。

さんまの内臓や頭は与えても大丈夫?

さんまの内臓は人でも食べない人が多いですが、食べても大丈夫な部分です。特に内臓はクセになってしまう人も多いようです。また、頭も食べる人は少ないですが、好きな人もいるのではないでしょうか。

そこで、この項では犬にもさんまの内臓や頭を与えてもいいのかどうか解説していきたいと思います。それぞれ見ていきましょう。

内臓

ふつう、魚の内臓は食べてはいけない部分で、取り除かなければならない場合がほとんどです。なぜなら、ふつうの魚の内臓にはその魚が食べたものが残っており、食中毒になってしまう可能性があるからです。

しかし、さんまは胃を持っていないため、食べたものが一本の消化管を通ってすぐに排出されてしまいます。そのため、内臓に含まれる食べ物が原因で食中毒になってしまうことはありません。

そして、さんまの内臓には犬にとって害になる成分も特に含まれていません。そのため、さんまの内臓は犬に与えても大丈夫です。ただ、もちろん生はダメです。加熱して与えましょう。

 

ちなみに、さんまの内蔵にはビタミンAや鉄分なども豊富に含まれています。

そして、これはさんまに限った話ではありませんが、内臓は苦いものです。そのため、さんまの内臓を食べてくれない犬もいると思います。その場合には無理に与えないようにしましょう。

さんまの頭にも犬にとって害になる成分は含まれていません。ただ、さんまの頭には骨がたくさんあるので、もし与える場合には圧力鍋で調理して骨を柔らかくするようにしましょう。

さんまの与え方


さんまは良く加熱して、その後身をほぐして与えるといいでしょう。ちなみに、加熱する方法としては煮る、焼く、などが考えられます。加熱した後には小骨をできる限り取り除いてあげましょう。

そして、丸焼きが最も栄養分を逃さない食べ方です。また、さんまは骨が比較的細い魚です。そのため、圧力鍋で柔らかく煮てあげると骨まで食べることができるようになります。そうすれば小骨をいちいち取り除く必要もありませんし、カルシウムも摂取することができます。

また、加熱した後にフードプロセッサーなどでつみれ状にしてあげるのもおすすめです。

ちなみに、さんまは人は塩焼きにすることが多いですが、犬には味付けなしで与えましょう。塩焼きにしてしまうと塩分のとりすぎになってしまいます。

 

ちなみに、さんまの適量は10㎏の犬の場合は20gほどです。そして、適量は個体によって異なるので愛犬にとってベストな量を見つけてあげるのがおすすめですが、1日のカロリーの20%は超えないようにしましょう。さんまを与えた分のフードは減らしてあげるのも大切です。

また、与えたら次の日の便は確認するようにしましょう。そして、もし便が緩くなっていたら与えすぎなので、次から与える量を減らしてあげたほうがいいでしょう。

また、初めて与えるときにはごく少量にしましょう。アレルギーを持っている可能性もありますし、さんまが犬の体質に合っていない可能性もあるからです。

きなこ
きなこ
さんまは犬にとって良質なたんぱく質源であり、必須脂肪酸も摂取することができます。
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