愛犬に生魚を与えても大丈夫なのでしょうか? 答えはイエスです。
日本人はお寿司や刺身としてよく生魚を食べていますよね。なので、犬にも生魚を与えたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では「犬に生魚を与えるときに必要な知識」について解説していきたいと思います。
犬に生魚(刺身用)を与えても問題はない
冒頭でも触れたように、ワンちゃんに生魚を与えても問題はありませんが、あくまで、刺身として食べられる新鮮な魚肉に限られます。
そもそも魚肉には、鶏肉や豚肉などの肉類にも含まれている動物性タンパク質を豊富に有しており、血行改善効果や発がん予防に期待ができるDHAやEPAを効率よく摂取できます。
一方で、ワンちゃんに生魚を与えるときは、しょうゆやワサビなどの調味料は使用せず、身の中に潜んでいる小骨を取り除いた状態で与えるようにしましょう。
また生魚が食べられるとはいえ、ワンちゃんの中には、魚肉の消化が苦手な子もいます。
一度に大量の生魚を与えてしまうと、消化不良を引き起こす可能性があるので、ドッグフードへのトッピング程度に留めておくのが最適です。
生魚に含まれている栄養成分
生魚には、以下のような栄養成分が含まれています。
➀たんぱく質
たんぱく質は三大栄養素のひとつであり、生きていく上で特に重要な栄養素です。血液や筋肉などの体をつくる主要な成分であり、体内で酵素など生命時に欠かせない物質にも変換されます。そして、エネルギー源になることもあります。
➁DHA・EPA
EPAは血液を正常に保ちます。具体的には血栓をできにくくしたり、高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを予防したりします。
また、DHAには血液を正常に保つほか、脳や神経組織を育てたり、機能を正常に保ったりする働きもあります。
➂酵素
生魚には消化を助けてくれる酵素が含まれています。そして、酵素は加熱してしまうと失われてしまうので、酵素を摂取するためには、生のまま食べる必要があります。
生魚を与えることで得られる効果効能
ここでは、前節で紹介した生魚に含まれている栄養成分をワンちゃんが体内に取り入れることで得られる効果効能について解説して行きます。
高血圧・認知症予防に期待できる
魚肉には、DHAやEPAが豊富に含まれています。
この成分には、血中に含まれている中性脂肪の量やコレステロール値を低下させる働きがあり、痴ほう症の予防に繋がります。
加えて、DHAやEPAは、脳の働きを活性化してくれる働きを持っている成分でもあります。
例えば、DHAにはワンちゃんの学習能力と記憶力をあり、EPAには認知症予防の効果があります。
免疫力の向上
生魚には、酵素や乳酸菌が豊富に含まれています。
元々、酵素や乳酸菌は熱に弱く、加熱処理を施した時点で効果がなくなってしまうため。加熱処理を施した魚肉中には含まれていません。
そして、生魚に含まれている酵素には、消化酵素と代謝酵素の2種類が存在します。
消化酵素は文字通り、体の中に入ってきた食べ物を消化する酵素で、代謝酵素とは、細胞を修復したり、生命活動を維持したりする酵素です。
さらに体内に常駐している潜在酵素は、消化酵素と代謝酵素の生成ができるわけですが、消化不全防止のため消化酵素を優先して生成しています。
この時、生魚に含まれている2種類の酵素が体内に入れば、潜在酵素は消化酵素の生成だけじゃなく、代謝酵素の生成も率先して行ってくれます。
潜在酵素がより多く代謝酵素を生成してくれれば、ワンちゃんの免疫力向上につながるほか、より少ない量の消化酵素を作り出すだけで、十分な消化活動が行えます。
犬に与えてもいい代表的な生魚に含まれている栄養成分
ワンちゃんに与えてもいい生魚は、刺身用として一般流通しているモノを与えるのがベストです。
主に、以下の生魚を与えるのがワンちゃんの為になります。
- マグロ
- 生食用のサーモン
- タイ
- ブリ
- カツオ など
ここからは、先のリストで上げた5種類の魚類に含まれている栄養成分について解説します。
マグロ
マグロは食べる部位によって得られる栄養成分の含有量が変わってきます。
例えば、マグロの中でも流通量が多い赤身部分は、低脂質で良質なタンパク質が豊富に含まれています。
さらに抗酸化作用と老化を遅らせてくれるセレンという成分が豊富に含まれています。
また中トロや大トロなど、マグロから採れる最高級部位には、血流を良くしてくれるDHAやEPAや豊富に含まれている反面、脂肪分が大量に含まれています。
健康にいいとはいえ、与えすぎると肥満の原因になりかねないので、中トロや大トロは少しだけ与えるようにしましょう。
生食用のサーモン
サーモンには、抗酸化作用と健康面・美容面で高い効果を発揮するアスタキサンチンという成分が含まれています。
この成分は、サーモンの身のオレンジ色の基になっている成分です。
加えて、サーモンから採れるサーモンオイルには、オメガ3脂肪酸のDHA・EPAが含まれており、ワンちゃんの嗜好性を高める効果を持っています。
なお、ワンちゃんに生のサーモンを与えるときは、「生食用」と記載されているものを与えるようにしましょう。
それ以外のものを与えてしまうと、身の中に埋まっている小骨で消化管を傷つけてしまったり、感染症や食中毒を発症する恐れがあります。
犬に鮭・サーモンを食べさせても大丈夫!食材に含まれる栄養素や適切な与え方を解説
タイ
タイには、豊富な動物性タンパク質が含まれていながら、脂質が少ない魚肉なので、肥満気味のワンちゃんへのおやつや副菜に最適です。
またタイは、白身魚の1種でもあるため、その身には豊富なDHAとEPA、アスタキサンチンが詰まっています。
さらに、心臓病予防や肝臓の解毒能力を強化してくれるタウリンも含まれています。
ブリ
和食の定番でもあるブリから採れる青魚特有の脂には、DHAとEPAが豊富なうえ、歯や骨の健康維持に欠かせないカルシウムやリンの収集効率を助けてくれるビタミンDが豊富に含まれています。
ビタミンDは、食事でしか摂取できない栄養成分の1種なので、普段あげているドッグフードの副菜として与えられます。
ただし、ブリには脂質分が豊富に含まれているので、与えすぎは厳禁です。
カツオ
青魚でもあるカツオの身からは、豊富な動物性タンパク質が摂取できます。
さらに、身から採れる脂にはDHAとEPA、さらに血合いの部分には鉄分やカリウムなどのミネラル成分も含まれています。
またカツオには、骨や歯を形成するのに必要なリンの摂取が効率よく行える一方、食べ過ぎると、カルシウムの働きを阻害してしまう恐れがあります。
犬に生魚を与える時に気を付けること
健康にいいと言われる生魚でも、食べすぎや与えすぎるとワンちゃんの健康を害してしまう恐れがあります。
ここでは、ワンちゃんに生魚を与える時に気を付けることをいくつかご紹介します。
与えすぎは肥満の原因に繋がりやすい
「魚肉=脂質成分が少ない」というイメージから、食べすぎても肥満になることはないと考える飼い主もいます。
しかし、魚肉もまた鶏肉や豚肉などの肉類に位置付く食材です。
ゆえに、魚肉の種類にもよりますが、相応のカロリーを有しています。
これは生食に限らず、加熱処理を施した魚肉にも同じことが言えます。
よって、生魚を与えるときは、1日に必要なカロリー量の約20%以下に留まる量を与えるようにしましょう。
消化不全の原因になる
ワンちゃんに生魚を与えても問題はありませんが、ワンちゃんには魚を食べるという習慣がなかったため、魚肉の消化が苦手です。
そのため、一度に大量の魚肉を与えてしまうと、消化不全による下痢や嘔吐などを発症する恐れがあります。
また体質的に合わないという子もいるので、生魚を与えるときは少量に留めて様子を見ながら与えるようにしましょう。
川魚は加熱処理が必須
魚肉を生で与えても大丈夫ですが、鮭やサーモンなどの川魚の身には、多くの寄生虫が潜んでいます。
中でも、有棘顎口虫という寄生虫が体内に侵入すると、皮膚の腫脹やみみず腫れなどを発症するほか、内臓や眼、脳などに迷入する場合があります。
なので、川魚をワンちゃんに与えるときは必ず加熱処理を施してから与えるようにしましょう。
またサーモンや鮭も川魚に位置付きますが、こちらは「生食用」と書かれたものに限り、与えても問題ありません。
身を与える前に小骨を取り除くこと
ワンちゃんの中には、与えられたものをよく噛まずに飲み込む習性があります。
もしも、ワンちゃんが小骨ごと魚肉を口にしてしまうと、のどや消化器官に飲み込んだ小骨を詰まらせてしまう恐れがあります。
ワンちゃんの食道は、人間のものよりも細く、骨が詰まるだけで呼吸困難や腸閉塞にかかる恐れがあります。
また、鋭い骨が喉や内臓などに刺さったり突き破ったりしてしまう可能性もあるので、魚肉を与えるときは、必ず小骨を取ってから与えるようにしましょう。
味付けで体調を崩す可能性がある
人が生で魚を食べる時には醤油やわさびをつけるのが一般的ですが、犬に醤油やわさびをつけた生魚を与えるのはやめましょう。
わさびは犬の胃腸を刺激して下痢の原因になってしまうかもしれませんし、醤油を与えてしまうと塩分の摂りすぎになってしまうかもしれないからです。
そして、犬が塩分を取りすぎてしまうと心臓や腎臓の負担になってしまい、様々な病気の原因になってしまうかもしれません。犬に生魚を与える時には味付けをせずに与えるようにしましょう。
青魚アレルギーの発症リスク
ワンちゃんの中には、サバやアジ、イワシなどの青魚を口にすることでアレルギーを発症する子がいます。
青魚アレルギーは、魚肉に含まれているタンパク質が原因なため、加熱処理を施して与えても発症します。
アレルギーの発症リスクを軽減するためにも、初めて青魚をはじめて与える場合、少量を与えるべきでしょう。
そして、嘔吐、下痢、かゆがる、発疹などアレルギーと思われる症状が出た場合には、青魚アレルギーを疑いましょう。
黄色脂肪症の発症リスク
黄色脂肪症とは、主に青魚に含まれている不飽和脂肪酸を過剰に摂取することで発症する病気です。
そして、黄色脂肪症では脂肪が酸化してしまい、以下のような症状が出てしまいます。
- 毛のツヤがなくなる
- おなかの下のほうに脂肪のかたいしこりができてしまう
- 突っ立ったようなぎこちない歩き方をする
- 痛いため、おなかを触られるのを極端に嫌がる
これらの症状が出たら、すみやかに動物病院へ連れていってあげましょう。
寄生虫や細菌による食中毒・感染症の発症
きちんと鮮度が管理されていない生魚には様々な寄生虫や細菌が付着している可能性もあります。
そのため、くれぐれも鮮度の高い生魚を選ぶようにし、保存には注意した方がいいでしょう。
以下は、生魚に含まれていることが多い代表的な細菌と寄生虫です。
アニサキス
アニサキスによる食中毒はアニサキスという寄生虫の一種を含む食品を摂取してしまうことで発生します。
そしてアニサキスは、イカやサバ、イワシ、サンマ、アジなどの魚介類の内臓に寄生しています。
しかし、内臓を食べていないからといって安心することはできません。
アニサキスは寄生している魚の鮮度が落ちてくると内臓から筋肉に移動します。
そして、アニサキスが寄生している魚介類を生で食べてしまうとアニサキスが腸壁や胃壁に侵入してしまい、食中毒を引き起こしてしまいます。
症状は嘔吐や激しい痛みなどです。
なお、アニサキスは熱に弱いため、煮たり焼いたりするとほぼ死滅します。
具体的には60℃以上で1分以上で死滅すると言われています。
また、アニサキスは低温にも弱いので、-20℃で24時間冷凍する方法でも死滅させることができます。
カンピロバクター
カンピロバクターは、家畜の腸や生殖器に感染する細菌です。
そして、カンピロバクターは室温では長く生きることができませんが、温度が低く酸素に晒されない環境では長い間生きることができます。
そのため、冷蔵庫の中はカンピロバクターにとって過ごしやすい環境と言えるでしょう。
そして、カンピロバクターの主な症状は胃腸炎です。また、下痢、腹痛、嘔吐、頭痛、悪寒などの症状が出ることもあります。
サルモネラ菌
サルモネラ菌は、人を始め川の中などの自然界に広く生息している細菌です。
牛肉、豚肉、鶏肉などの肉や卵から感染することが多いでしょう。
そして、サルモネラ菌には乾燥に強い性質があります。そして、サルモネラ菌に感染すると吐き気、腹痛、発熱、下痢などの症状が出てきます。
リケッチア
サケやニジマスの中には、リケッチアという寄生性の細菌に感染している可能性があります。
リケッチアに感染した魚を生で与えてしまうと「サケ中毒」と呼ばれる中毒を引き起こしてしまいます。
そして、サケ中毒の症状は嘔吐、下痢、血便、発熱、衰弱、リンパ節の腫れなどです。ちなみに、リケッチアは熱に弱いため加熱することで無毒化することができます。
そして、人間用に加工された刺身ならリケッチアの心配はほぼ必要ありません。しかし、川で釣ってきた場合や加熱用の生魚を生のまま与えてしまった場合などにはリケッチアに感染しているリスクがあるので、注意する必要があるでしょう。
ヒスタミン食中毒の発症リスク
ヒスタミン食中毒とは、ヒスタミンを含む魚を摂取することで起こる中毒です。
魚にはもともとヒスチジンという成分が含まれていますが、これが細菌の持っている脱炭素酵素と反応してしまうと魚肉内でヒスタミンが生まれてしまいます。
そして、ヒスタミンが中毒を引き起こしてしまうのです。
つまり、生魚を生のまま常温で放置してしまうと細菌が増えてしまってヒスタミンの量が増加してしまい、中毒になる確率が高くなってしまいます。
そして、ヒスタミンは熱に強いため、一度生成されてしまうと熱で無毒化するのは困難です。
ただ、生魚に含まれている細菌を増やさないでおけば、ヒスタミンの中毒は発生しないので、新鮮な生魚を買うようにし、常温での放置は行わないようにしましょう。
ちなみに、ヒスタミンで中毒になってしまうと2~3時間ほどで症状が現れてきます。
具体的には、舌や顔のしびれ、じんましん、めまいなどの症状が起こると言われています。
イカ・エビ・カニ・タコは消化不全を起こしやすい
イカやエビやカニやタコは刺身になることもありますが、犬に与えるのはやめたほうがいいでしょう。なぜなら、これらは犬にとって特に消化がしにくい食べ物だからです。
ちなみに、もしどうしてもイカやエビやカニやタコを与えたい場合には、細かく切って味付け程度の少量を与えるようにしましょう。
チアミナーゼによるビタミンB1欠乏症の発症リスク
生魚にはチアミナーゼというビタミンB1分解酵素が含まれています。そのため、チアミナーゼを多く摂取するとビタミンB1欠乏症になってしまうかもしれません。
ただ、刺身を一切れ食べたくらいではまず起こりません。継続的に摂取することがなければビタミンB1欠乏症になることはないと思います。
ちなみに、ビタミンB1欠乏症になると、最初のころは食欲が低下したり、よだれが多くなったりします。そして、その後はけいれん発作が起こったり、運動障害が起こったりします。このような症状が出たら動物病院へ連れていってください。治療すれば1日程度で回復を見込めます。
ただ、チアミナーゼは加熱すれば効果を失います。
犬に生魚を与える方法
ワンちゃんに生魚を与えるなら、刺身用として流通しているマグロ、ブリ、タイ、カンパチ、ヒラメ、カレイなどがおすすめです。
これら魚肉をワンちゃんに与えるときは、醤油やワサビなどで味を調えず、細かくカットした状態で与えましょう。
また初めて生魚を与えるときは、アレルギーや体質に合わないなどの問題を考慮して、少量の魚肉を与えて様子を伺いましょう。
少量の魚肉を与えても体調に変化が見られなかったら、徐々に与える量を増やしていきましょう。
最終的に与えても大丈夫な量の目安とし、5Kgのワンちゃんなら30g、10㎏なら50g、20㎏なら90g前後に留めるのが最適です。
とはいえ、毎日魚肉を与えてしまうと、チアミナーゼによりビタミンB1欠乏症が引き起こす可能性があります。
なので、機会があったら与えるという考えで、生魚を与えていくのが最適です。
犬に生魚を与えるときは少量から始めること
ワンちゃんに生魚を与えても問題はありませんが、魚肉もまた鶏肉や豚肉などの肉類に含まれてる食材なので、食べ過ぎると、肥満の原因になったり、食物アレルギーや食中毒などの病気になる可能性があります。
基本的にワンちゃんに与えるご飯は、栄養バランスが整ったドッグフードがメインで生魚をはじめ、食材単品はあくまで不足しがちな栄養を補給するために与えたり、ご飯前の間食として与えるのが最適です。
また生食として与えられるものは、基本的に刺身用として流通しているモノに限られます。
それ以外の魚やイカやタコ、貝などをワンちゃんに与えるときは加熱処理を施した後、細かくカットしてから与えるようにしましょう。
健康にいいとはいえ、与えすぎれば毒になります。
ワンちゃんの健康を管理する立場として、適切な処理を施してからワンちゃんに生魚を与えましょう。
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