犬に必要な「6つの栄養素」についての全知識

ドッグフードの基本

犬にはどのような栄養素が必要なのでしょうか。
 
人に飼われている犬は自分で食べ物を選ぶことができません。ですので、愛犬にきちんと必要な栄養が含まれている食べ物を与えるのは飼い主の責任になります。

そこで、この記事では「犬に必要な6つの栄養素についての全知識」について解説していきたいと思います。

6大栄養素のバランスが大切

犬には水、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの6大栄養素をバランスよく摂取させてあげるのがおすすめです。

そして、必要な栄養素は基本的に人間と同じですが、人間よりややタンパク質を多くし、炭水化物を減らす必要があるので注意があります。

犬に必要な6つの栄養素とは?


人間と犬はどちらもほ乳類で、体のつくりがそこまで違っているわけではありません。そのため、人間でも犬でも必要な栄養の種類はほぼ同じです。

具体的には、まず1番大切なのは3大栄養素の炭水化物、タンパク質、脂質です。そして、ビタミンやミネラルも大切な栄養素です。ここまでの5つの栄養素は5大栄養素と呼ばれています。

また、これは忘れられがちなのですが、水も重要な栄養素です。水がなければ人間も犬も生きていくことができませんよね。そんな水は第6の栄養素と呼ばれることもあります。

そして、水を過剰摂取することはまれだと思いますが、6つの栄養素のどれを過剰摂取しても、不足しても体調不良につながります。ですので、これらの栄養素をバランスよく適量摂取するのが大切です。

 

さて、人間に必要な栄養素と犬に必要な栄養素はあまり変わりませんが、必要な量のバランスは人間と犬で少し異なります。

具体的には、犬は現在では雑食ですが、もともと肉食動物であったこともあり、人間よりやや必要なタンパク質の量が多くなっています。

そして、その分、犬が必要な炭水化物の量は人間よりやや少なめです。

【1】犬と水分


栄養素としては忘れられがちな水分ですが、水は栄養素の中でも一番重要だと言えるでしょう。

なぜなら、動物はほとんどの脂肪、約半分のタンパク質を失っても生きていくことができますが、水分に関しては15%が失われただけで命を落としてしまうからです。

また、成犬の場合、体の65%は水分で構成されていると言われています。

 

そんな水分ですが、尿、ふん、唾液などによって常に失われていっています。なので、水は飲み物を飲んだり、食事を食べたりすることで常に補給していく必要があります。

そして、水分が排出される量よりも補給される量のほうが少なくなると、だんだん脱水症状になってきてしまいます。

そのため、愛犬がいつでも新鮮な水を飲めるようにしておくことは、飼い主の義務だと言えます。

 

ちなみに、健康的な成犬が快適な温度で暮らしている場合、必要な飲み水の量はフードから水分を除いた重さの約2.5倍だと言われています。

具体的な必要水分量は以下の表の通りです。

体重(kg)必要水分量(ml)
2190
3260
4320
5370
6430
7480
8530
9580
10630
15850
201060
251250
301440
351610
401780

ただ、これはあくまで目安であり、犬に必要な水分の量はさまざまな要素によって変化します。

たとえば、暑かったらより多くの水分が必要ですし、たくさん運動する犬も多くの水分を必要とします。

不足すると?

犬の体に水分が不足すると命に関わる事態になります。

具体的には、消化器系、呼吸器系、泌尿器(ひにょうき)系に致命的な打撃が与えられます。

ちなみに、犬の場合、体内の水分の約10%が失われると危篤状態になり、15%が失われると命を落とすと言われています。

過剰になると?

犬が水を過剰に摂取しても過剰症状が起こることはあまりありません。

ただ、犬が異常に多く水を摂取している場合、なんらかの病気にかかっている可能性があります。

具体的には、腎臓の病気、糖尿病、皮ふの炎症などにかかっていると、水を大量に飲む症状が出てくると言われています。

愛犬が異常に多く水を摂取しているなら、念のため動物病院を受診したほうがいいかもしれません。

【2】犬と炭水化物


炭水化物とは、難しい言いかたをすると、炭素と水素と酸素でできている化合物のうち、水素の数が酸素のちょうど2倍になっているもののことです。

たとえば、炭水化物のひとつであるグルコースは炭素6個、酸素6個、水素12個で構成されています。水素が酸素の2倍ありますよね。

そして、もう少し簡単な言いかたをするなら、炭水化物は糖質と食物繊維の総称です。

犬にはタンパク質が重要と言われているため、軽視されがちな炭水化物ですが、炭水化物も犬が生きていくためにはとても重要な栄養素です。

 

そんな炭水化物はさまざまな食品に含まれていますが、特に多く含んでいるのは米、とうもろこし、イモ類などです。

これらの食べ物は人間が主食として食べていることが多いですよね。人間は必要な炭水化物の量が犬と比べて多いからです。

一方、犬の場合も炭水化物を摂取することは大切ですが、タンパク質に比べると重要性はずっと低くなります。そのため、犬の炭水化物の適正摂取量などは定められていません。

 

そして、炭水化物源の中には安価なものが多いため、ドッグフードの製造会社はドッグフードに炭水化物を多く配合する傾向があります。そのため、ドッグフードを食べている限り、炭水化物不足を心配する必要はないでしょう。

一方、手作りフードをあげている場合には、炭水化物の量にも配慮する必要があります。

不足すると?

犬が炭水化物不足になるとエネルギー不足になってしまい、疲れやすくなってしまいます。

過剰になると?

炭水化物が過剰になると、エネルギーとして炭水化物を消費しきれなくなってしまい、炭水化物が脂肪として体内に蓄積されていってしまいます。

これにより、犬が肥満になってしまいます。

炭水化物の種類

炭水化物は大きく糖質と食物繊維にわけることができます。それぞれ見ていきましょう。

糖質


糖質とは、炭水化物のうち消化酵素で分解することができるもののことです。

糖質は体の中に吸収されると主に脳や筋肉に取りこまれてエネルギー源として活用されます。

そして、余ったものはインスリンというホルモンの働きでグリコーゲンという物質に変化させられて肝臓や筋肉などに蓄積されます。

そして、空腹になると蓄積されていたグリコーゲンが糖質に戻り、エネルギー源として活用されるのです。

 

ちなみに、糖質は1gあたり4kcalのエネルギーを持っています。

そして、糖質は大きく単糖類、二糖類、多糖類にわけることができます。それぞれ見ていきましょう。

単糖類


単糖類はこれ以上分解されると糖質ではなくなってしまう、糖質の最小単位です。以下のような種類があります。

  • グルコース:ブドウ糖とも呼ばれ、血糖として動物の血液中を循環しています
  • フルクトース:果物に多く含まれていて、すべての糖の中でもっともよく水に溶けます
  • ガラクトース:乳製品やガムなどに含まれています
二糖類


二糖類とは、単糖が2つくっついてできた糖質のことです。以下のような種類があります。

  • スクロース:ショ糖とも呼ばれ、砂糖などに含まれています(グルコース+フルクトース)
  • ラクトース:乳糖とも呼ばれ、牛乳にも含まれています(グルコース+ガラクトース)
  • マルトース:麦芽(ばくが)糖とも呼ばれ、麦芽に多く含まれています(グルコース+グルコース)
多糖類


多糖類とは、単糖がたくさんくっついてできたものです。以下のような種類があります。

  • でんぷん:じゃがいもなどに多く含まれていています
  • グリコーゲン:動物がグルコースを体内で貯蔵するときにはグリコーゲンを用います
  • ヒアルロン酸:動物の皮ふやその他の部分に存在し、水分を保持する役割があります

ちなみに、この記事では別物として紹介しますが、食物繊維も多糖類の中に分類されることがあります。具体的には、栄養学では別物として扱われますが、化学では食物繊維を多糖類の一種として扱うことが多いでしょう。

なぜなら、食物繊維も単糖が多数結合してできているからです。

糖アルコール


糖アルコールは糖質の一種です。ただ、他の糖とは少し違う性質をいくつか持っています。

具体的には、以下のような特徴があります。

  • 熱・酸・アルカリに強い
  • 微生物の栄養源になりにくい
  • 消化吸収されにくい

ただ、「甘い」という点はほかの糖質と似ています。

 

そして、糖アルコールはとても便利なので、加工食品などに多く用いられています。

具体的には、体内で吸収されにくいため、低カロリーな素材であり、食後の血糖値も上昇させにくいため、肥満につながりにくいというメリットがあります。

また、微生物の栄養源になりにくいということは、糖アルコールが含まれている食品は菌が繁殖しにくいということです。このことから、食品を長い間もたせることができます。また、口の中でも菌が繁殖しにくくなるため、虫歯にもなりにくいという特徴を持っています。

そして、酸やアルコールや熱に強いため、加工するときにとても便利です。

 

ちなみに、糖アルコールは「アルコール」という名前がついていますが、糖アルコールはもちろんお酒ではありません。

糖アルコールとアルコール類では性質は大きく異なりますが、化学式で見ると共通している部分があるため、「アルコール」という名前がついているのです。

そんな糖アルコールには以下のような種類があります。

  • グリセリン:化粧品などに含まれていることで有名で、保湿性が高いです
  • ソルビトール:ダイエット食品に使われていることが多い人工甘味料です
  • キシリトール:ガムや歯磨き粉などに入っていることで有名な糖アルコールです
  • マンニトール:医療機関で点滴に用いられることが多い糖アルコールです
  • マルチトール:化粧品に用いられることが多い糖アルコールです
糖質と糖類

糖質と似た言葉に糖類がありますが、この2つの言葉は似ているようで異なるものを指しています。

糖質はこれまでにも解説してきた通り、炭水化物の中でも消化酵素で分解することができるもののことです。

一方、糖類とは単糖類と二糖類の総称です。そして、糖類は糖質の中でも特に食後の血糖値を上昇させやすいという特徴を持っています。

入れ替えて使ってしまうと誤解のもとになってしまうので注意が必要です。

食物繊維


食物繊維とは犬の消化酵素では分解することができない成分の総称です。

そして、犬の消化酵素では分解できませんが、犬の腸内に生息している微生物が食物繊維を分解してくれます。

ちなみに、食物繊維の分解により生じたピルビン酸という成分は短鎖脂肪酸に変化しますが、これは犬の腸内の健康を維持するのに役立ちます。

 

そして、食物繊維には消化管を食べ物が通過する時間を調整したり、血液中のグルコースの量を調整したりする効果もあります。

そんな食物繊維ですが、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維にわけることができます。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維とは、食物繊維のうち水に溶けるもののことです。

ちなみに、水溶性食物繊維が水に溶けるとドロドロと粘りのある状態になります。

そして、水溶性食物繊維には有害物質を吸着して外まで運んでいってくれる働きがあります。

そんな水溶性食物繊維の種類は以下の通りです。

  • ペクチン:果物に多く含まれている食物繊維です
  • グルコマンナン:コンニャクイモに含まれていることで有名な食物繊維です
  • βグルカン:キノコ類に多く含まれる食物繊維であり、がんに効果があると言われています
  • イヌリン:ゴボウに多く含まれている食物繊維で、犬との関連はありません
  • アルギン酸ナトリウム:コンブなどに多く含まれている食物繊維です
  • フコダイン:コンブ、ワカメ、メカブなどの海藻に多く含まれている食物繊維です
  • ラミナラン:コンブなどの海藻、キノコ類などに多く含まれている食物繊維です
不溶性食物繊維

不溶性食物繊維とは、食物繊維のうち水に溶けないもののことです。

不溶性食物繊維は消化管内で水分を含んで体積が大きくなります。これによりウンチの量が増え、スムーズな排せつを行うことができます。

そんな不溶性食物繊維の種類は以下の通りです。

  • セルロース:いろんな植物に多く含まれている食物繊維です
  • キチン・キトサン:甲殻類の殻に多く含まれている食物繊維です

【3】犬とタンパク質


人間にとっても、犬にとっても、タンパク質は重要な栄養素だと言えます。

特に、犬は人間より多くのタンパク質を必要としているため、タンパク質が多く含まれる食事をとることはとても大切です。

そして、タンパク質は筋肉やホルモンなどの原料になる栄養素です。カロリーは1gあたり4kcalで炭水化物と一緒です。

そんなタンパク質は肉の赤身、魚、大豆、卵白、牛乳、チーズなどに多く含まれています。

 

そして、犬のタンパク質最低摂取量は複数の機関が定めていますが、その量には差があります。

具体的には、NRC(全米研究評議会)は理想体重1kgあたり1.6g以上のタンパク質が必要だとしています。

一方、AAHA(アメリカ動物病院協会)は理想体重1kgあたり2.5g以上のタンパク質が必要だとしています。

 

ちなみに、タンパク質は分解されるとアミノ酸になります。

そして、アミノ酸には種類があります。そのうち、犬が体内で合成することができないため、食事から摂取する必要のあるアミノ酸を必須アミノ酸と言います。

ちなみに、犬の必須アミノ酸は10種あります。

そして、それぞれのアミノ酸について、AAFCO(アメリカ飼料検査官協会)が最低摂取量を公開しています。

AAFCO

AAFCOとは日本語では米国飼料検査官協会と呼ばれる組織で、ペットフードの栄養に対する厳格な基準や、ラベルの表示のルールなどを定めている団体です。ただ、AAFCOが定める基準は最低限のものでしかないという批判もあります。

ちなみに、AAFCOの基準を満たしているとプレミアムフードを名乗ることができます。

不足すると?

タンパク質は筋肉やホルモンなどの原料になるため、タンパク質が不足すると、これらの組織を作ることができなくなってしまいます。

具体的には、発達遅延、体重減少、生体機能の低下などが発生します。

また、タンパク質が不足すると毛の成長も遅くなると言われています。

過剰になると?

タンパク質の過剰について語られることは少ないですが、他の栄養素と同じように、タンパク質も過剰摂取はよくありません。

具体的には、筋肉やホルモンを作るために十分なタンパク質を摂取した場合、タンパク質は体を動かすためのエネルギーになります。

しかし、体を動かすためのエネルギーも十分にある場合には、タンパク質は脂肪に変化して体内に蓄積されてしまいます。これは肥満の原因になります。

 

また、タンパク質を分解するとアミノ酸になりますが、このときにアンモニアが発生してしまいます。アンモニアはそのままだと体に悪い影響を与えてしまいます。

それを防ぐために、アンモニアは肝臓で尿素かもしくは窒素性廃棄物に分解され、尿として排出されます。

しかし、作られる窒素性廃棄物の量は多すぎると体内で処理しきれなくなってしまい、体内に蓄積されてしまいます。

これは腎臓に負担をかけてしまい、腎不全につながってしまう可能性があります。

必須アミノ酸の種類

犬の必須アミノ酸は以下の10種類です。それぞれ見ていきましょう。

ちなみに、必須アミノ酸がバランスよく含まれている食材はあまりありません。

そのため、さまざまな食材を組み合わせて上手に摂取していく必要があります。

ただ、総合栄養食のドッグフードには、必須アミノ酸がバランスよく配合されているため、ほかの食べ物を摂取する必要はありません。

アルギニン


アルギニンはアンモニアの無毒化を助け、免疫反応を活性化し、細胞の増殖を促進し、コラーゲンの生成を促進する作用を持っています。

そして、肉、玄米、エビなどに多く含まれています。

ヒスチジン


ヒスチジンはヒスタミンなどの原料になります。また、脂肪の分解を促進する作用もあります。

そして、マグロなどに多く含まれています。

イソロイシン


イソロイシンは筋肉をつくり、疲労を抑える作用があると言われています。

そして、鶏肉、子牛肉、チーズなどに多く含まれていると言われています。

ロイシン


ロイシンはタンパク質を合成し、肝機能を向上させ、筋肉を強化する作用があると言われています。

そして、幅広くさまざまな食品に含まれているため、不足することはあまりないでしょう。

ちなみに、ヨーグルト、海苔(のり)、牛肉、鶏卵などに特に多く含まれていると言われています。

リジン


リジンには免疫力を向上させたり、カルシウムの吸収を促進させたり、ホルモンや酵素を生成したりする効果があります。

そして、動物性タンパク質源をはじめ、オートミール、納豆、ほうれん草などにも多く含まれています。

メチオニン


メチオニンは血中コレステロール値を低下させ、抗酸化作用も持っているアミノ酸です。

牛肉、羊肉、レバー、ほうれん草などに多く含まれています。

フェニルアラニン


フェニルアラニンは脳と神経で信号を伝える役割を持っている神経伝達物質として働くアミノ酸です。

過剰摂取すると血圧が上昇してしまいます。

そして、肉、魚、納豆などに多く含まれています。

スレオニン


スレオニンは肝臓に脂肪が蓄積されてしまうのを防ぐ働きがあります。

そして、動物性タンパク質源のほか、卵にも多く含まれています。

トリプトファン


トリプトファンはビタミンの一種であるナイアシンの原料になったり、セロトニンの生成を助けたりするアミノ酸です。

ちなみに、セロトニンはホルモンの一種であり、精神の安定に深く関わっています。

そして、トリプトファンはレバー、チーズ、バナナ、きなこ、肉、魚などに多く含まれています。

バリン


バリンはタンパク質を合成したり、肝機能を向上させたりする作用のあるアミノ酸です。

鶏肉、レバー、魚、チーズ、ごまなどに多く含まれています。

【4】犬と脂質


脂質はなにかと不要扱いされることが多い栄養素ですが、人間にとっても、犬にとっても重要な栄養素です。

そして、脂質は主に脳や筋肉を取りこまれてエネルギー源として活用されます。

また、体を動かすのに十分なエネルギーがある場合、脂質はインスリンの働きにより脂肪として体内に蓄積されます。

そして、空腹のときには分解されてエネルギー源として活用されるのです。

 

そんな脂質は1gあたり9kcalであり、3大栄養素の中ではもっとも高カロリーです。

犬が一日に必要な脂質の量に特に基準はありませんが、高カロリーな栄養素なので、ほかの栄養素とのバランスを考えて摂取させるといいでしょう。

ちなみに、食事に含まれていることが多いのはトリアシルグリセロール、リン脂質、コレステロール、コレステロールエステルなどです。

特にトリアシルグリセロールは口にする機会がとても多いと思います。

 

そして、脂質は体内で分解され、グリセリンと脂肪酸にわかれますが、脂肪酸は大きく飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸にわけることができます。

このうち、飽和脂肪酸は常温で固体であり、過剰摂取に特に注意が必要な栄養素です。

一方、不飽和脂肪酸は常温で液体であり、植物や青魚に多く含まれています。そして、過剰摂取も不足するのもよくないと言われています。

そして、脂肪酸の中には犬が体内で合成することができない必須脂肪酸もあります。ちなみに、AAFCOは必須脂肪酸に関しても最低摂取量を公開しています。

不足すると?

必須脂肪酸が不足してしまうと、繁殖機能が抑制されてしまったり、毛ヅヤがなくなってフケが出てきてしまったりします。

そして、それが長期間続くと皮ふ炎の原因になってしまいます。

また、妊娠中は脂質の不足に特に注意が必要です。脂質が不足すると生まれてきた子どもに異常が起こったり、死産になってしまったりするかもしれません。

ちなみに、低脂肪のドッグフードを食べていた場合や、高温多湿の環境で保存したことで脂質が酸化してしまったドッグフードを食べている場合などに脂質の不足が起こりやすいでしょう。

過剰になると?

脂質が過剰になってしまった場合には、肥満にもなりますが、膵炎(すいえん)にも気をつける必要があります。

 

膵臓は強力な消化液である膵液を分泌しています。ちなみに、この消化液の中にはたんぱく質を分解する酵素も含まれています。そして、普通はこの消化液は膵臓から分泌され、十二指腸まで出てから消化液としての効果が働くようになっています。

しかし、膵臓に過度な負担がかかってしまうとこの消化液の効力が膵臓の中で解放されるようになってしまいます。そして、膵臓は主にたんぱく質でできているため、消化液が膵臓を溶かしてしまい、膵臓が大ダメージを受けてしまうのです。これが膵炎です。

ちなみに、膵炎になってしまうと食欲がない、嘔吐、よだれが多い、腹痛などの症状が起こってしまいます。そして、膵炎は命にかかわることもあるほど危険な病気です。

脂質の種類

犬の必須脂肪酸には以下の種類があります。

リノール酸


リノール酸は脂肪酸の一種です。コレステロール値を下げる作用があります。ただ、過剰に摂取すると善玉コレステロールも減らしてしまうので注意が必要です。

αリノレン酸


αリノレン酸は犬の体内で合成することができない、必須脂肪酸の一種です。体内に取り入れられるとEPAやDHAなどに変化します。そして、αリノレン酸にはアトピー性の皮ふ炎を解消したり、がん細胞の増殖を抑制したり、血圧を低下させたり、血液の流れを良くしたりする効果があります。

DHA・EPA


EPAは血液を正常に保ちます。具体的には血栓をできにくくしたり、高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを予防したりします。

また、DHAは血液を正常に保つほか、脳や神経組織を育てたり、機能を正常に保ったりする働きもあります。

【5】犬とビタミン


ビタミンとは、生物の生存や生育に必要な微量栄養素のことです。

そして、犬に必要なビタミンは以下の14種です。これらのビタミンについて、AAFCOはそれぞれ最低摂取量を公開しています。

ちなみに、ビタミンは大きく脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンにわけることができます。

脂溶性ビタミン

脂溶性ビタミンとは、油に溶けやすく水に溶けにくいビタミンの総称です。

脂溶性ビタミンは尿で排出することが難しいため、不足と同じくらい過剰摂取にも注意が必要です。

ビタミンA


ビタミンAとはレチノール、レチナール、レチノイン酸の総称です。このうち、ビタミンAの主要な成分であるレチノールには目や皮ふの粘膜を健康に保ったり、細菌などに対する抵抗力を高めたりする働きがあります。また、薄暗いところで視力を保つ働きもあります。

ビタミンD


ビタミンDは小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進し、血液の中にあるカルシウムの量を調整します。そして、頑丈な骨をつくる働きもあります。

ビタミンE


ビタミンEには抗酸化作用があります。抗酸化作用により、さまざまな病気が予防されます。

ビタミンK


ビタミンKは出血したときに血が固まって止血するのを助け、骨の形成も助けます。

そして、ビタミンKは犬の腸内に生息している微生物が作り出すことができるため、不足することはあまりないでしょう。

水溶性ビタミン

水溶性ビタミンとは、水に溶けやすいビタミンの総称です。

水に溶けて尿とともに排出されるため、過剰に摂取しても体に悪い影響が現れることは少ないでしょう。

ビタミンB1(チアミン)


ビタミンB1は糖質からエネルギーを生産したり、皮膚や粘膜の健康を保つのを助けたりする役割があります。ビタミンB1が欠乏すると食欲がなくなったり、疲れやすくなったりします。

ビタミンB2(リボフラビン)


ビタミンB2は主に皮膚や粘膜の健康を保つのに役立つビタミンです。代謝を支える重要な役割を持っています。活発に運動する犬ほどたくさんのビタミンB2が必要になります。

ナイアシン(ビタミンB3)


ナイアシンはビタミンB群の仲間です。そして、ナイアシンは細胞で糖質や脂質やたんぱく質からエネルギーを作り出すときに役立ちます。また、皮ふや粘膜の健康を維持する役割もあります。

パントテン酸(ビタミンB5)


パントテン酸はビタミンの一種です。パントテン酸は広く様々な食品に含まれています。そして、パントテン酸はたんぱく質の代謝とエネルギーの生産に不可欠な酵素を補助する役割を持っています。

また、コレステロール、ホルモン、免疫抗体などの合成にもかかわっています。そのため、パントテン酸は皮ふや粘膜の健康を保つ働きもしています。

ビタミンB6


ビタミンB6はたんぱく質をエネルギーに変換したり、筋肉や血液などを作ったりするときに働いています。なので、たんぱく質を多くとるほどたくさんのビタミンB6が必要になり、皮ふや粘膜の健康維持にも役立っています。

ビオチン(ビタミンB7)


ビオチンとはビタミンB群の一種で、ビタミンB7と呼ばれることもあります。そして、ビオチンには酵素の働きを助け、皮膚炎を予防する効果があります。

葉酸(ビタミンB9)


葉酸はビタミンB群の一種です。緑の葉っぱに多く含まれているため、葉酸という名前が付きました。葉酸はたんぱく質や細胞を作るときに重要な役割を果たしています。そして、ビタミンB12と協力して血液を作る働きもあります。

ビタミンB12(コバラミン)


ビタミンB12は葉酸と協力して赤血球の中に含まれているヘモグロビンを作るのに役立っています。また、脳からの指令を体全体に伝える神経を正常に保つ効果もあります。

コリン


コリンには肝炎、脂肪肝、動脈硬化などを防ぐ効果があります。

また、体内でアセチルコリン、レシチンなどの原料になる栄養素でもあります。

ビタミンC


コラーゲンの合成を助け、皮ふや毛並みを整えてくれます。また、ストレス解消や免疫力の強化などにも有効です。

そして、ビタミンCは犬の体内で合成することができるため、通常不足することはないでしょう。

ただ、ストレスがかかる環境だったり、老犬だったりすると、外部から摂取する必要がある栄養素でもあります。

【6】犬とミネラル

ミネラルとは生物が生きていくために必要な微量の元素のことです。

日本語では「無機質」と呼ばれます。

そして、ミネラルは多すぎても少なすぎても体調不良につながるので注意が必要です。

また、あるひとつのミネラルを摂取しすぎてしまうと、ほかのミネラルの吸収が阻害されてしまう場合もあるので、バランスも重要です。

 

そして、犬の必須ミネラルは12種類ありますが、AAFCOはそのそれぞれについて最低摂取量を公開しています。

ミネラルの種類

犬の必須ミネラルは以下の12種類です。

ナトリウム


ナトリウムはカリウムとともに体内の水分バランスなどを維持しています。また、栄養素の吸収や輸送、血圧の調整などにも関与しています。また、ナトリウムは胆汁、膵液、腸液などの原料でもあります。

カルシウム


カルシウムは骨や歯を形成するために必要不可欠です。また、筋肉を動かすためにも必要です。ただ、過剰に摂取すると逆に骨折などが起こってしまう可能性があります。そのため、適切な量を与えることが重要です。

マグネシウム


マグネシウムは体内で骨や歯をつくるために使われています。そして、マグネシウムは体内で不足すると骨から遊離して神経の興奮を抑えたり、エネルギを作ったり、血圧を維持したりするのに利用されます。

リン


85%のリンは体内でカルシウムやマグネシウムと一緒に骨や歯を作る成分になっています。また、15%は筋肉や脳や神経などに存在し、エネルギーを作り出すのに役立ちます。

ただ、リンはとりすぎてしまうとカルシウムを奪ってしまい、骨が弱くなってしまいます。また、腎臓の負担にもなります。

カリウム


カリウムは体内で水分の調整を行っています。体内で増えすぎたナトリウムの排泄を促す働きもあります。また、心臓や筋肉の働きを調節したりする役割も持っています。

塩素


塩素は食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取されることが多いミネラルです。

胃液が食べ物を消化するのを助け、肝臓の機能を助ける効果もあります。そして、血液の中で酸とアルカリのバランスを調整する働きもあります。


鉄分は血液のヘモグロビンの中に含まれ、酸素を運ぶために必要です。また、エネルギーを作り出すためにも必要です。

亜鉛


亜鉛は体内で作り出すことができないため、食事で摂取する必要があります。

そして、亜鉛には体内のさまざまな働きをサポートして正常に保つ役割があります。具体的には味覚を正確に保ったり、免疫力を向上させたり、新陳代謝を活性化させたり、毛並みや肌の健康を保ったり、抗酸化作用を活性化したりします。

マンガン


マンガンはさまざまな酵素の構成成分になったり、さまざまな酵素を活性化したりします。具体的には糖質や脂質を代謝するために働く酵素や抗酸化作用のある酵素などの構成成分になっています。また、骨の形成にも関与しています。


銅は鉄から血液中にある赤血球が作られるのを助けるミネラルです。赤血球のヘモグロビンは鉄を成分にしていますが、銅にはヘモグロビンをつくるとき、鉄を必要な場所に運ぶ役割を持っているのです。また、酵素の原料にもなり、骨の形成を助ける役割などもになっています。

セレン


セレンはオスの場合、精子を作る原料になります。また、血管を拡大して血液をサラサラにする働きもあります。

ヨウ素


からだに取り入れられたヨウ素のほとんどは甲状腺に取り込まれます。そして、甲状腺ホルモンを作る原料になります。そして、甲状腺ホルモンは発達と成長を促進する効果を持っています。

犬とカロリー


人間も犬も、適切なカロリーを摂取することが大切です。摂取するカロリーが少なすぎればやせ細ってしまいますし、多すぎると太ってしまいます。

そして、犬の場合、必要なカロリーの目安は、体重の0.75乗に各ステージの係数をかければ計算することができます。

ちなみに、係数は離乳期の場合は274、成長中期の場合には200、成犬期では132です。

そして、犬の大きさによって各成長ステージの年齢は異なります。具体的な年齢は以下の表の通りです。

犬の大きさ(成犬の体重)離乳期成長中期成犬期
小型犬(~10kg)生後20日~60日程度60日~10ヶ月程度10ヶ月~
中型犬(10kg~25kg)生後20日~60日程度60日~1年程度1年~
大型犬(25kg~)生後20日~60日程度60日~1年半程度1年半~

また、具体的な必要カロリーの目安は以下のフォームで計算することができます。

ただ、これはあくまで目安です。必要なカロリーは運動量、体質などによっても変化します。そのため、犬に食べ物を与えていてやせていってしまったら量を増やし、太ってしまったら量を減らすといいでしょう。

犬の栄養とドッグフード


日本で一般的に発売されているドッグフードは総合栄養食が多いと思いますが、総合栄養食とは、「それと水を摂取するだけで健康を維持するのに十分な栄養をとることができる」ドッグフードのことです。

そのため、良質な総合栄養食のドッグフードを食べている場合には、特に栄養面に関して心配する必要はないでしょう。

ちなみに、総合栄養食の基準にはAAFCOのものが採用されています。

犬の年齢と栄養


人間でも赤ちゃんと老人で食べているものは異なりますが、それは犬も同じです。

犬は年齢とともに太りやすくなり、油の消化が苦手になり、消化器官が弱くなって下痢を起こしやすくなるのです。ですので、犬の年齢に合わせた食べ物を与えてあげる必要があります。

それでは、それぞれの成長ステージにおいて必要な栄養の違いについて見ていきましょう。

幼犬


幼犬は成長が激しい時期です。

そのため、体を作るのに必要なタンパク質を多く摂取する必要があります。また、カルシウムやリンなどのミネラルをしっかりと摂取するのも大切です。

また、成長にはエネルギーを使うため、この時期には多くのカロリーを摂取する必要もあります。

成犬


成犬の時期には6つの栄養素をバランスよくとりながら、生活環境によって必要な栄養、食事量などを検討する必要があります。

この時期は幼犬の時期と比べて個体差が出やすいからです。

具体的には、運動量、去勢や避妊をしているかどうか、体質、生活環境などによって個体差が生まれます。

老犬


老犬は運動や代謝の量が減って睡眠時間が長くなってくる時期です。

ちなみに、7~9歳ほどから老犬の時期に入ると言われています。

そして、老犬期の食事には量を減らしたり、脂肪分を少なくしたりなどといった配慮が必要です。

 

また、この時期には病気にかかることも多くなりますが、持病を持っている場合には、その病気をケアするようなドッグフードを与えてあげるのも大切です。

この時期には、特に腸内環境を整えてあげたり、関節の健康をサポートしてあげたりする食事がおすすめです。

 

ちなみに、成長ステージによって愛犬に与える食事を変える人もいれば、変えない人もいると思いますが、食事を切り替えるときには時間をかけるようにしましょう。

具体的には、急に新しい食事に変えるのではなく、もとの食事に少しずつ新しい食事を混ぜていき、1~2週間かけて新しい食事に移行するようにしましょう。

食事を急に変えてしまうと犬が警戒して食べてくれないかもしれませんし、犬の体がびっくりして下痢などの症状が出てしまう可能性もあります。

ドッグフードの達人
犬には水、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの6大栄養素をバランスよく摂取させてあげるのがおすすめです。

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